第四十三回:クールビズの影響
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第四十三回は、今年話題になったクールビズについて
震災の影響による福島原発の停止以降、
かつてない程世の中に「節電」の二文字が溢れました
エアコンの設定温度を28℃、使わない電化製品のプラグを抜くなど、
新聞やテレビでも、節電の具体的な方法を連日取り上げていました
そして、大きな話題となったのがクールビズです
言葉そのものは以前からありましたが、
今年は一気に広がったように見えます
具体的には、ノーネクタイ、
もしくはワイシャツではなくポロシャツの着用など
そのような取り組みが広がる中、当社も今年は、
ワイシャツの大幅点数減を覚悟していました・・・・・が
この夏は
「ワイシャツとスーツ上下が若干減り、ズボンが大幅に増える」
と言う結果となりました
「この結果が何故かはっきりとは分からないので、お客様に直接聞いてみよう」
と思い、色々とお話を伺って判明した事は
「世間ではクールビズと言っても、
長袖ワイシャツ+スーツは変えられない」
という方がこちらの想定以上の数であった事と
「ワイシャツではなく、ポロシャツ着用で
楽なのはいいけれど、エアコンの設定温度が高い、
もしくはそもそも使っていないので、気温以上に暑い夏だった」
という声が多く聞かれた事です
結局の所、ズボン点数の大幅増は、
この夏の間も「長袖ワイシャツ+スーツ」で過ごす方が多かったため、
ワイシャツおよびスーツ上下の点数はさほど減少せず
逆にどこへ行ってもエアコンの設定温度が高いため汗をかき、
ズボンの「汗取り」をする方が増えたため、
このような結果になった、と考えています
当社は毎年夏になると、
ズボンの「汗取り」クリーニング(詳しくはこちら)については
こちらのホームページのほか、店内のホワイトボードや、
周辺へのチラシのポスティング等で
「やってますよ!」とアピールはしていましたが、
これだけの数の汗取りクリーニングが集まったのは、初めてです
昨年は、ズボン全体に占める汗取りクリーニングの
割合は10%未満、と言った所でしたが、
今年はズボンの点数そのものが大幅に増加した上に、割合が10%を軽く越え、
もう少しで20%(つまり5本に1本が汗取り)に届こうか、という勢いでした
今まで汗取りを利用されなかったお客様が、
ズボンを5〜6本まとめて持って来店され
「全部汗取りで」と言った事や、
新規のお客様で何本もズボンを持ってこられて、全て汗取り、
という光景が今年は特に目立ちました
これは、「ズボンの汗取りクリーニング」というサービスを、
当社が行っているという事を何年も前からアピールした結果であり
「知ってはいるけど使った事はなかった」という多くのお客様が、
汗取りという言葉に反応したから、と考えています
改めて、「すぐに結果は出なくとも、続ける事が大事」という、
商売の鉄則を噛み締めた今年の夏でした