第四十四回:ニットシャツにご注意
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第四十四回は、最近増えてきた『ニットシャツ』について
ニットシャツ
ここ最近、対応に苦慮している製品です
何が問題かと言うと、
通常のワイシャツとしてプレス機にかけると、伸びます
そして、伸びたら元には戻りません
更に、お客様はその事を知らずに買っています
大抵の場合、品質表示に
「ニット製品のため、商業プレスはお避け下さい」と書いてあります
しかし、そこまで読んで、書いてある内容を理解して(=プレスすると伸びる)、
それから購入されている方はほとんどいないでしょう
そして、クリーニング店でプレスして、
初めて「伸びる」という事に気づく訳です
比較的、「固い」という印象のあるワイシャツですが、
ニットシャツは触ってみると柔らかく、
手触りが気に入って購入した、という方が多いのではないでしょうか
しかし伸びます
ワイシャツとして、プレス機による仕上げを行う以上、基本的に避けられません
そのため、当社ではニットシャツをお持ちになられた場合、
「ワイシャツとしてプレスすると伸びますが、どうしましょう?」
・・・と伺うようにしています
伸びても良い、という場合は
そのままワイシャツ仕上げへ(ほとんどありませんが)
伸びるのはイヤだ。大事に着たいという場合は、
1枚500円のオープンシャツ扱い(アイロン仕上げ)にしています
しかし、洗いの表示自体はワイシャツと同じなので、
ワイシャツと同じ扱いにしている、
というクリーニング店も多いのではないでしょうか
当社も、受付の時点で100%発見する事は難しく、
後で気付く場合が多々あります
ワイシャツを購入する際、ニットシャツは、
そのようなリスクのある製品であるという事を、
頭の片隅に置いておいた方が良いでしょう
触ってみて
「柔らかくて、引っ張ると伸びる」場合は、要注意です
品質表示を確認してみてください