第百九十九回:「カビとカーテン」
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第百九十九回は、「カーテンのカビ」について
カビの季節がやって来ます
窓を開けて、換気を行うことが多い春〜夏と比較すると
特に冬は「加湿器を付けて、閉め切った状態」になるため、
梅雨の時期と同じくらい、カビに気を付ける必要があります
こちらのコラムや、シミヌキ豆知識、クリーニング日記でも
たびたび取り上げていますが、
カビは多くの場合「表面に付着している」状態であるため
大抵の場合は、気づいてすぐに家庭での洗濯、
もしくはクリーニングで落とすことが出来ます
ただし、カビの発生から時間が経過して
内部にまで浸透している場合には、
脱色・変色を引き起こすことが多々あります
一般的な衣類に関しては、「カビの発生を確認したらすぐ洗う」
と言う対応で大丈夫ですが、厄介なのがカーテンです
と言うのも、加湿器で発生する水分や
雨の日の湿気は、部屋の下に溜まりがちであり、
その結果、カーテンの下部分にカビが発生しやすいからです
そのため、カーテンのカビはすそ部分、あるいは
すその裏側の、目立たない部分に発生することが多く、
「気づいた時点で手遅れ」になりがちです
以前に「カーテンにシミが付いた」として
シミが付いた(ように見える)カーテンをお受けした所、
シミではなくカビによる脱色だった・・・と言うことがありました
また、カーテンは長い間、日光に晒されているため、
日光により弱くなり、洗うと裂け・破れの恐れのあるものが、
非常に多く見受けられます
そのため、気づいた時点で、全体にカビが広がっている
でも、洗うと破れ・裂けの可能性もある・・・と言う、
身近なモノながら、非常に厄介な性質を持っています
部屋に加湿器を設置する場合、
同時に湿度を表示する機能のある温度計を置き
湿度が上がり過ぎないよう、気を付けた方が良いでしょう
また、温度計を見なくても、定期的に窓を確認して、
窓の下の方に水滴がたくさん付いている場合、
湿度はかなり高い状態です
加湿器は一旦、止めた方が無難でしょう
クローゼットや衣装ケースの中にも、除湿剤を入れて
良く晴れて乾燥した日に、外に出して干しておき
「湿気抜き」をすると安心です
梅雨時にはしっかりカビ対策をする、と言う方が多い一方
「自分で設置した、加湿器によるカビへの対策」は
あまりしていない、と言う方が多く見受けられます
カーテンがカビだらけになったので買い替える・・・
と言うのは大仕事です
秋の初め頃からカビ対策を初めて、
「家の中には絶対、カビを発生させない」と言う
意識を持つことを、是非心がけてみて下さい