第百八十四回:「同じ表示、違う結果」
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第百八十四回は、「洗濯表示」について
クリーニング業に従事する者として、常日頃から感じる、
お客様との間にある認識の差
その一つが
「品質表示が同じ=洗った結果が同じ」ではない
・・・と言う事です
分かりやすい例が、ユニクロ・Gap・ZARAのアパレル三大ブランドで
ユニクロは、日本人から見て「この表示で、この結果なら納得」と言うレベル
Gapは、世界基準で見て、「この表示で、この結果なら売れる」と言うレベル
ZARAはちょっと特殊で、衣類によりかなり差があります
表示通りに洗っただけで、ものすごく色落ちする衣類もあれば、
全く問題ない衣類もあります
また、以前こちらのコラムでも
「イタリア製の魔力」として紹介したイタリア製の衣類の場合
「水洗いして大丈夫?」と思うような衣類に、水洗い可能の表示が付いており、
表示通り水洗いすると、シワがかなり寄る、と言う衣類が多く見受けられます
イタリアは、物価が高い割に給与はあまり高くはなく
そのため、「とにかく丈夫で、しっかり汚れを落とす」衣類が好まれる・・・
と言う事を、様々な国の事情を紹介する本で読んだ事があります
ただし、来客を盛大にもてなす文化があり、日常生活では節約しているとか
このように、「同じ品質表示でも、結果が全然違う」と言う事は、
クリーニング業に従事している人間からすると、常識です
しかし、一般消費者にとっては「同じ品質表示=同じ結果」と
普通は受け止めると思います
基本的に、国内製造の衣類に関しては、
「同じ表示=同じ結果」と見て、大体の場合は間違いありません
また、ユニクロは品質が非常に安定しているため、
どこの国で作られた衣類でも、安心して大丈夫だと思います
ただ、何枚も品質表示が付いていて、
多数の言語に対応している衣類や
日本語ではなく外国語の表示の衣類
外国語の品質表示の上に、
日本語の品質表示が「貼ってある」ような衣類の場合、
基本的には「ちょっとあやしい」と警戒するようにしてみて下さい
日本人は、衣類に関しては世界一神経質です
そのため、日本人の感覚に合わせて衣類を製造すると、
採算が合わないと言う事情があります
日本人から「品質表示通りに洗うと、シワだらけになる」と嫌われていても、
世界レベルでは売れていて、総合で見るとプラスであれば、
会社として「その品質でOK」と言う事になります
全ての品質表示を疑ってかかる必要はありません
ただ、ヒラヒラと何枚も付いている品質表示
全く読めない品質表示の服の場合、
「この表示は本当かな・・・」と、少し注意してみて下さい