クリーニング豆知識

第百八十三回:「コーティング」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百八十三回は、「コーティング」について


クリーニング業者から見て、品質表示に書いてあると警戒するモノ
その一つが
「〇〇コーティング」です

なぜ警戒するかと言うと、一部のコーティングは剥がれるからです
(全てのコーティングが剥がれる、と言う訳ではありません)

そして、着用している時に「コーティングが剥がれて来た事」
気付くことはほぼないため、クリーニングに出して、
戻ってきた際に気付く事になります


コーティングで、最も一般的だと思われる衣類が
合成皮革です
品質表示を見ると、
「合成皮革(ポリウレタンコーティング)」
と言った表記が見られます

ただ、全ての合成皮革にそのような表記がある訳ではなく、
単に
「合成皮革」とだけ書かれている場合も非常に多くあります


以前からこのコラムで何度かお伝えしていますが、
この合成皮革のコーティング

製造(購入ではありません)から3年程度で劣化して、
だんだんとヒビ割れたような状態になり、
更に劣化が進むと剥がれてきます


ファスナーの取っ手や、ベルト通しの部分など、
一部にのみ使われている場合も多く、
いちいちそのような部分をチェックする事はあまりないため、
劣化に気付かない場合がほとんどです



また、ジャンパーやコートなどで、
裏面が銀色の衣類にも、
コーティングが使用されている場合があります

他にも様々な種類のコーティングを行った衣類があり、
しかし持ち主は、その事を知らない場合がほとんどです



この「コーティングは劣化する」と言う事は、
衣類を購入する際に、店舗スタッフが丁寧に教えてくれる訳ではないため、
購入する前に自分で品質表示をチェックして、自分で気付くしかありません


メルカリなど、出品サイトで衣類を購入する事を
あまりオススメしないのも、事前にこのようなチェックが
入念に出来ない事が理由の一つです


衣類に関する革新的な技術が開発されない限り、
コーティングは今後もなくならないでしょう


本革の半額以下の価格で、
本物の皮のような質感の服が買える事は、やはり魅力です


衣類を購入する際、品質表示に
「〇〇コーティング」と書いてあったら、
「この服は、数年でコーティングが劣化してダメになるかもしれない」
と言う事を考えるクセを付けてみて下さい

疑問に思った事がある場合は、購入前に店舗のスタッフに質問するか、
その場でスマホで検索して、調べてみる事をオススメします


その衣類を製造・販売しているメーカーが
「この衣類のコーティングは、〇年で劣化します」
品質表示に記載する義務はないため、
現状は野放しになっていると強く感じます

ユニクロの
「ネオレザー」には
「この衣類のコーティングは、製造から〇年で劣化します」
と言った記載がありましたが、そのようなメーカーはごく一部です