クリーニング豆知識

第百七十八回:「タックワイドパンツ」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百七十八回は、ユニクロの「タックワイドパンツ」について


毎年発表されている、日経MJの
「ヒット商品番付」
その中にランクインしていたのが
ユニクロの「タックワイドパンツ」

名前の通り、
タック(線)の付いたワイドパンツで
ユニクロのオンラインストアで、画像を確認する事が出来ます


ヒットの要因は、脚が長く見える
着こなしの幅が広い、と言ったことのようです
そして、ヒットしたと言う事は、類似品がたくさん出て来ると言う事です

Googleで
「タックワイドパンツ」と検索すると、
現時点でも実に多くの商品がヒットします
今後も、同様の服がたくさん出て来るでしょう


ただし、このタックワイドパンツ、注意点があります
ワイドパンツ、と一口に言っても形は様々で

◎単純に幅が広いもの
◎腰部分が細く、脚部分が広い、末広がりの形状のもの
◎腰とすそ部分は絞ってあり、「( )」のような形をしているもの

・・・と言ったバリエーションがあります
(この他にも、様々な形状のワイドパンツがあります)


そして、「タック(線)ワイドパンツ」の名前の通り、
線を付けたデザインとなっていますが、
パンツスーツのパンツなどと違い

線を付けない(付けることが出来ない)
ワイドパンツは世の中にたくさんあります


また、クリーニング店側からすると、
線を付ける・付けない、どちらとも取れるパンツの場合

線を付けると、跡が残って消えにくいパンツも多くあるため
基本的には線を付けない方が無難です


そのため、着用や洗濯により線が消えて
その線を付けて欲しいからクリーニングに出したのに

ズボンの仕上げを担当した人が、タックワイドパンツを見て、
「このパンツは、線を付けるデザインだな」と思わなかった場合、
線なしの状態でクリーニングから返ってきます


タックワイドパンツはまだまだ出始めの状態であり、
世間の認知度はあまり高くないと感じます


もし、線を付けるデザインのパンツが好きで、
たくさん持っていると言う場合

そのパンツをクリーニングに出す際には、
「デザインを見れば分かるだろう」と思わず
店頭で
「このパンツには、線を付けて下さい」
はっきりと伝えることを、強くオススメします


ただし、第百七十五回で取り上げたように、クリーニング店の店頭で
「このパンツには線を付けて下さい」と伝えることと、
「自分のイメージ通りの線が付いて帰ってくること」は別です

パンツの線の付け方に、
クリーニング店共通のルールがあると言う訳ではなく
お店ごと、もしくは仕上げを行う人のセンスによって違います


タック(線)付きのパンツが好きで、
たくさん持っていると言う場合は、特にご注意下さい