第百七十七回:「感動パンツ」
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第百七十七回は、「クリーニング屋から見た、すごいズボン」について
ユニクロの「感動パンツ」
大ヒットしたため、名前は知っている、と言う方も多いのではないでしょうか
他社から類似品がたくさん出たこともあり、
履いている人がたくさんいる、一般的なデザインになりました
その「感動パンツ」ですが、クリーニング業に従事する者として
「『服にこだわりはないけど、ダサイのはイヤ』と思っている人は、
みんな感動パンツ系で良いのでは」・・・と思うほど、製品として優れています
製品として特に優れている点を挙げると
@何十回と洗っても、そこまで縮まない耐久性
A無難な、でもダサくないデザイン
B定番を抑えたカラーバリエーション
・・・の3つになります
今回は、簡単に@〜Bの点について、
クリーニング業に従事する人の視点から解説します
@何十回洗っても、そこまで縮まない耐久性
ユニクロの服は、基本的に何十回と洗っても、
そこまで縮まないように出来ていますが、
「目立つ・目立たない」や「気になる・気にならない」があります
ズボンの場合、洗っている内に足の部分が
「縫い目に引っ張られるように」縮んで来て、
色や柄、素材によっては非常に目立ちます
これは、縫い糸と生地の収縮率に違いがあるため、発生する現象ですが
感動パンツも全く縮まないと言う事はないものの
きちんと伸ばした上でプレスすることで、
縮みがかなり目立たくなるズボンの一つであると思います
全てのユニクロのズボンは、縮みが目立たないと言う事ではなく
柔らかい、あるいは薄い生地のズボンは、やはり目立ちます
その点、感動パンツはそこまで薄い生地ではないため、
何十回と洗って縮んで来ても、縮みが目立ちません
A無難な、でもダサくないデザイン
「ユニクロ=ダサい」と思って、絶対にユニクロの服は着ない、
と決めている方は世の中に多くいます
ただ、感動パンツは、既に幅広い価格帯の類似品が出ていて
一目でユニクロの感動パンツだと分かる、
・・・と言う人も、中々いないでしょう
デザインは非常にシンプルな製品ですが
安っぽい、素っ気ないと言うデザインではなく
価格が何倍もする、他社の類似品と比較してもパッと見では分からない
非常に良く出来たシルエットだといつも思います、
B定番を抑えたカラーバリエーション
相手に清潔感を与える、水色や青
落ち着いた印象を与える、グレーなど
デザインと同様、カラーバリエーションも非常に無難です
他社から、「デザインは感動パンツと同じ、でもユニクロにはない色」
と言うズボンはたくさん出ており、実際にお受けする事も多いのですが
「このパンツのデザインや色が原因で、相手に嫌われる事はないだろう」
・・・と言う意味では、やはり感動パンツが一番無難です
前述のように、
「ユニクロは絶対着ない」と決めている方も、世の中には多くいます
ただ、感動パンツのような優れた製品を見ると、
「それはそれで、ちょっと勿体ないのでは・・・」といつも感じます