クリーニング豆知識

第百七十六回:「続・テカる」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百七十六回は、「柔らかい服の『テカり』」とその直し方について


第九十九回で、「テカる」と題して、
ズボンの
『テカり』について取り上げました


黒の礼服のズボンや、コーデュロイの衣類
紺や黒と言った、濃色の服の一部は

プレス機で線を付けたり、アイロンを強めにしっかりとかけると、
そこの部分だけ光っているような、「テカる」状態になる事があります


この状態は、プレスやアイロンをかける事によって、
毛が
「寝た」状態になっていている事が原因です


この状態の難しい所は、
「立っていた毛が、寝てしまっているからこうなる」
・・・と言う原因に気付かない限り、何十回やり直しても、
同じ結果になると言う事です


直し方としては、基本的には毛を
「立った」状態に戻すため、
テカりの発生した部分に蒸気をあてて、手作業で伸ばします

この際、特にズボンの場合は、テカりの発生した部分と、
発生していない部分の
「境目」に念入りに蒸気をあてます

蒸気をあてても、その部分にアイロンをしっかりかけると
「寝た」状態にまた戻ってしまうため、注意が必要です


また、家庭で自分でアイロンがけをしてると言う場合、
黒や紺と言った、濃色の服の
「肩部分」に注意して下さい

ハンガーにかけた際のハンガー跡を、アイロンで伸ばそうとして、
強くかけすぎて逆に広範囲の跡が残った、
と言う状態のセーターやTシャツを、たくさん見て来ました

金具やビーズの付いた服も、裏側から強くアイロンをかけると、
表側が金具やビーズの形にテカる事が多々あります


黒・紺・青と言った色合いの服は、形状や素材にもよりますが、
大抵の衣類で起こり得る現象です

自分でアイロンをいつもかけていると言う場合、
濃色の服はアイロンを
「強くかけすぎない」よう注意してみて下さい

また、テカりの非常に発生しやすい、
コーデュロイ製品はかなり一般的になって来ました
そのような製品を購入する場合、
「テカりのリスク」も考慮してみて下さい