クリーニング豆知識


第九十九回:「テカる」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第九十九回は、「ズボンのプレス圧とテカり」について


テカる


・・・といきなり言われても、
殆どの方が何の事か分からないと思います

しかし、クリーニング業界、
あるいはアパレル業界の人であれば、
ある程度通じるのではないでしょうか

これはズボン、特に起毛製品や礼服に見られる現象で、
名前の通り
「テカっているような」状態です


なぜこのような状態になるかと言うと、起毛製品の場合、
「起毛」していたのが、「寝た」ので、
色合いが違って見えます

原因は、アイロンおよびプレス機によるプレスで、
シワを伸ばした後、あるいはプレス機でプレスした後


アイロンの蒸気をあてて、

「寝た」
状態から「起毛」の状態へと、
きちんと戻せていない事によるものです

また、蒸気をあててもテカっている状態から戻らないものもあり、

「簡単に治せます」
とは言えません

起毛製品の場合、
「シワを伸ばす」・「プレスする」と、
「テカらないようにする」は両立が難しく、
ある意味クリーニング店の腕の見せ所です


実はズボンのプレス機には

「プレス圧を調整する機能」
が備えられており、
かなり細かくプレス圧の調整が可能です

当社では、一般的なウールの紳士ズボンは強めに、
婦人ズボンと起毛製品のズボンは弱めに、プレスしています

また、ズボンのプレス機は
「ズボンに線を付ける」ための機械なので

線を付けない、いわゆる
「線なし」のズボンは、
プレス機を使用せず、全てアイロンで仕上げています


しかし、柔らかい生地の婦人ズボンや、起毛製品のズボンに、
紳士ズボンと同じプレス圧で線を付けると・・・・
テカります

プレス圧を弱めにしても、
ある程度テカりはしますが、アイロンで蒸気をあててあげると、
プレスしていない部分と見分けが付かない程度には、
元通りになります


つまり、柔らかい生地、あるいは起毛製品のズボンを、
紳士ズボンと同じプレス圧でプレスして

その後蒸気をあてて、
「寝た」起毛を「起きた」状態に戻さないと、
かなりハッキリと
「テカる」事になります

この状態は、
「スチーム機能付きのアイロン」がない場合には、
家庭で元の状態に戻す事は難しく、中々に厄介です

もし、どうしても気になると言う場合には、
クリーニング店にご相談される事を、お勧めします