クリーニング豆知識

第百五十一回:「匂い」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百五十一回は、「匂い」について



書くべきかどうか
書くとしたら、どのような言葉で伝えるか

長い間考えていましたが、
「周囲に指摘する人がいない場合、
クリーニング業に携わる者が、書く必要があるのでは」
と思い、
「匂い」をテーマとして扱う事にしました


その人が、どれほど仕事上で有能であったとしても、
人格が優れていたとしても

「匂い」は、その人に対する印象を大幅にマイナスにします
特に、タバコを吸う方はご注意下さい


そして、匂いが厄介なのは、

自分では中々気付かないと言う事です


家族や、親しい友人・知人に指摘してもらわない限り、
「自分が普段、どのような匂いをしているか」
に気付かない事が多いかと思います

「知り合いの家に遊びに行ったら、匂いがすごく気になった」
・・・と言う話を聞く事がありますが、その当人達は、
自分の住んでいる家の
「匂い」には気づきません
おそらく、誰かに指摘されない限り、永遠に


当社では、夏の初め〜秋の終わりに
「ズボンの『汗取り』」の、
半額キャンペーンを行い、汗をかいたら、ズボンに蓄積した汗を、
早め早めに除去するようお勧めしています

その際、
「汗はそのまま放置すると、脱色・変色を引き起こします」
とお伝えしていますが、実は「匂いの除去」も、
汗取りをお勧めする大きな要因です

「クリーニングに出せば、汚れは全て落ちる」
と思っていただけるのは嬉しいのですが

実際はまだまだ多くのスーツ上下は水洗いが出来ず、
水洗いが出来ないと言う事は、汗が除去出来ない、と言う事です


世代間の常識の差、と言う事なのか
20代〜30代の方は「匂い」に関する意識が高い場合が多く

「イヤな匂いは、相手を不快にさせ、嫌われる」
と言う認識が強い印象を受けます

しかし、男女問わず、中年以上の一部の方は、
「自分が日常において、どのような『匂い』をしているか」
に無頓着であり、服や体臭に全く気を付けていないのでは、
と感じる事があります


今は女性用だけでなく、男性用の香水や、
体臭を抑える作用のある、
ボディソープやシャンプー等があります

誰かに
「匂いが気になるよ」と言われた時、
実際には、それまで非常に多くの人に、
同じ思いをさせていたかもしれません

30代、遅くとも40代を迎えたら、
自分の
「匂い」を気にする習慣を、
身に着けてみて下さい


特にタバコの匂いは、
ドライクリーニングのみの衣類に付くと落としづらく

ファブリーズやリセッシュのような、噴霧式消臭剤を使用しても、
完全に落とすと言う事は中々難しいため


タバコを毎日必ず吸っている、と言う場合は
「自分は、周囲にタバコの匂いを放ちながら、
毎日歩いているのかもしれない」

・・・と言う自覚を、持っておいた方が良いかもしれません

良く言われるように、以前にタバコを吸っていてやめた人は、
タバコの匂いに非常に敏感であり、
それが原因で周囲の人から敬遠される可能性もあります


常日頃から自分の匂いに気を付け、
周囲に不快な思いをさせない事が、
結果として、自分自身の充実した生活に繋がります