クリーニング豆知識

第百五十回:「洗濯と除菌」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百五十回は、「洗濯による除菌効果」について


以前から、「誤解を与える表現では?」と感じていたのが
「洗濯で除菌」と言う、家庭用洗剤のCMです


CMでは、この洗剤を入れて洗濯すると
除菌効果がある・・・としていますが

これは、このコラムでも度々お伝えしている、

「嘘ではないが、本当でもない」
表現だと思います


衣類の表面に付いたウィルスを除去する・・・と言う点において、
この洗剤でなくては除菌効果がない、と言う訳ではありません
また、洗剤を入れず、単純に水で洗っても、一定の除菌効果はあります

アルコールや除菌スプレーでもある程度の効果があるため、
「洗濯が、衣類に対する唯一の除菌方法である」
と言う訳ではありません


ただ、以前にテレビで取り上げていましたが、
アルコールの除菌スプレーをハンドバッグに吹き付けると、
バッグの材質にもよりますが、
変色する場合があります

リセッシュやファブリーズと言った、噴霧式の消臭スプレーも、
特に水洗い出来ない衣類に吹き付けると、シミになる場合があります


除菌や消臭の効果を強調した製品は、
今後も新しいものが続々と登場すると思います

ただし、まずは使い方を良く読み、特に
「使わないで下さい」
注意書きがしてあるモノには、絶対に使わないようにして下さい

締め切った車の中で冷却スプレーを使い、
その後タバコに火を点けようとして爆発した、と言うケースもあります

アルコールで手を除菌した後、ライターを使用したら手が燃えた、
と言うようなケースも以前にありました



「除菌効果」を謳う洗剤が今後出て来たとしても、
まずは
「この洗剤だけが除菌効果を持つ訳ではない」
と言う目で見て

それよりも、良く落とすシミや汚れを重視する選び方でも良いと思います