クリーニング豆知識

第百三十四回:「タンブラー乾燥禁止」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百三十四回は、「タンブラー乾燥」について


「タンブラー乾燥」と聞いて、
何の事かすぐ分かる人は

クリーニング事業者、あるいはアパレル関係の方を除いて、
あまり多くはないと思われます


しかし、実はかなり多くの衣類の品質表示に書かれている、
注意事項でもあります

表現は様々なパターンがありますが、基本的には、
「タンブラー乾燥はお避け下さい」
「タンブラー乾燥禁止」のどちらかが多いようです


では、このタンブラー乾燥
何の事かと言うと、
要は
「熱を加えながら、かつ回転させて乾燥させる工程」です

コインランドリーに設置している、
洗濯と乾燥を同時に行う機械の乾燥も、タンブラー乾燥

業務用だけでなく、家庭用のドラム式洗濯乾燥機における乾燥も、
タンブラー乾燥です

そして、なぜ禁止されているかと言うと、

衣類へのダメージが大きいからです


しかし、この
「タンブラー乾燥禁止」
クリーニング店では、

以前取り上げた
静止乾燥機(通称ボックス)の中で乾燥させる、
と言う事が可能ですが、家庭では出来ません

そのため、品質表示に
「タンブラー乾燥禁止」
と書かれた衣類を家庭で洗濯する場合

自然乾燥か、
あるいは最近は大分普及している
「浴室乾燥」と呼ばれる、
浴室に温風を送り込んで乾燥させる方法で、
乾かす事しか出来なくなります

そうと知らずに、洗濯機で乾燥工程まで行ってしまうと、
縮みや、風合いの変化が発生する恐れがあります


そして、その責任は、
「品質表示に『タンブラー乾燥禁止』と書いてあるにも関わらず、
乾燥機を用いて乾燥させてしまった、消費者自身」
にある、
と言う事になります
コインランドリーで洗った場合でも、自己責任となるため、注意が必要です

品質表示は、ある意味契約書のようなものであり、
その衣類を購入すると言う事は

「この衣類は、このような特性を持っていますが、それでも良いですか?」
という契約に、自分の意志で同意した事になります


衣類を購入する時
その服をどうしても欲しい、この服が着たい、と思える服こそ

品質表示を良く読んでから、購入するようにして下さい