クリーニング豆知識

第百三十三回:「白いダウン・黒いダウン」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百三十三回は、「シミの目立たないダウンの色」について


毎年3月〜4月の、ダウンのセールを行う時期に思うのは、
「ダウンには、汚れが目立つ色と、
目立たない色がある」
と言う事です

汚れが目立つ色として挙げられるのは、やはり
です
特に、ドライクリーニングのみの白いダウンの場合、
普通のシミに加えて
「雨のシミ」が全体に付いている事が多く、
とても目立ちます

また、長年の使用により、
「色がくすんで、グレーっぽくなって来る」のも、白の特徴です

よく、この「くすんだ色」について、
クリーニングして落ちるのか、と言う質問をお受けしますが、

色がくすんでしまった場合、
クリーニングで元通りになる事は、まずありません



では、黒や紺のような、濃色なら汚れが目立たないかと言うと、
黒や紺は、皮脂汚れが非常に目立ちます

エリ・ソデに付いた皮脂が、
時間が経過して白っぽくなって来ると、かなり目立ちます

また、汗や皮脂による脱色や、
コスレによる摩耗が発生すると、同様にとても目立ちます


では、
「汚れの目立たないダウンの色」
は何かと言うと、薄いグレーです

濃い、黒に近いグレーは、
黒と同様に皮脂汚れが目立ちます

また、赤や黄と言った色は、
地色とは別の色の汚れ・シミが付くと、非常に目立ちます

ただし、薄いグレーと同様、
薄い紺色も汚れ・シミが目立たちにくいと言えます

元々が薄い色合いなので、
長年の使用による変退色も分かりづらく

特に肩の部分に多く見られる、
バッグ等による摩擦による色落ちも、あまり目立ちません


そのため、
「良いダウンを買って、長く使いたい」
と考えている場合

薄いグレーや薄い紺のような、汚れ・シミ・雨が、
あまり目立たない色合いのものをオススメします

ただし、色の好みと言うものは人それぞれであり、
「このダウンを、どうしても着たい!」と思えるダウンに出会えたなら、
それはとても幸せな事です


ダウンに限らず、薄いグレー・薄い紺色は、
汚れが目立ちにくいため、汚れやシミを頻繁に付けてしまうと言う場合

「汚れやシミが、そもそも目立たない色の服を着る」と言う事も、
選択肢の一つです