第百二回:「シミヌキ不要」
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第百二回は、「シミヌキは不要」と言うケースについて
「初めての方へ」にあるように、
当社の強みは「丁寧なシミヌキ」と
「人の手による仕上げ」であると考えていますが、
「シミヌキは必要ありません」と言われる事があります
何故かと言うと、
多くの場合は会社の制服であったり、使い古した衣類であり、
「それ程高いものではないので、シミヌキ代がかかるようなら捨てる」
と言う理由によるものです
また、当社の側から、
「とりあえず今回は、(特殊シミヌキはせず)
洗って落ちる所まで、としておきましょうか」
と提案する事もあります
特にワイシャツのエリ・ソデの黄ばみに多いのですが、
エリの漂白シミヌキ(=300円)をワイシャツ5枚に行うと、
シミヌキ代だけで1500円になります
そのような場合には、
「エリの漂白シミヌキ=300円」と
「シミヌキをせず、通常の洗いで落ちる所まで」という
2つの選択肢を提示した上で、どちらかを選んで頂くようにしています
そして、お客様がとても悩んでいる時には、
「とりあえず今回は〜」と提案する事があります
シミヌキをした後、シミヌキ前の状態には戻す事は出来ませんが、
シミヌキをせずに洗い、仕上がりの状態を見て、
「やっぱり漂白シミヌキをして欲しい」と言われれば、
対応が可能だからです
ただし、この対応は当社独自のものであり、
基本的にクリーンニング店では
シミの付いた衣類を預ける
⇒シミヌキをする
⇒シミヌキ代が発生する
と言う流れになっています
また、シミが取れたか取れないかに関わらず、
「シミヌキと言う作業」が発生した時点で、
シミヌキ代を頂くやり方をしているお店もありますが、
人件費が発生する以上、合理的な判断だと思います
当社は、簡単に取れた場合には、基本的にシミヌキ代は無料
特殊なシミヌキ、あるいは非常に時間のかかるシミヌキをした場合のみ、
シミヌキ代を頂いています
「クリーニング日記」の方でも以前述べた事ですが、
自分の要望をハッキリと伝えた人が、何かとトクをする世の中です
もし、シミヌキが不要な場合には、
「シミヌキは不要です」と伝えてみる事が大事です
ただし、しっかりシミヌキして欲しい場合には、
「どこに、何の」シミが付いたのかをきちんと伝え、
ハッキリとシミヌキを依頼する事が重要です