ニュートン力学 → ニュートン力学の体系
古典力学の分野中で、ニュートン (Newton) の運動方程式を基本とする力学体系のことを言う。
ニュートン (Newton) の運動方程式は次式によって与えられる。
F = ma (1)
ただし F は粒子に作用している力、m は粒子の質量、a は粒子の加速度である。
ここで 力 F と加速度 a については、大きさの他に方向性を持つ量であって
ベクトル量に属し、質量 m については大きさのみで決まる量でありスカラー量に属する。
なお 真空中の光速度に近いような運動では、ニュートン力学は妥当性を失うため、
高エネルギーの物理現象に対しては相対論を考慮しなければならない。
[SI 単位]
力 : N (ニュートン)
質量 : kg
加速度 : m s-2
二つの粒子の質量をそれぞれ M,m とするとき、二粒子間の万有引力の大きさ F は次式によって与えられる。
F = GMm/r2
ただし G は万有引力定数、r は二粒子間の距離である。
すなわち 万有引力の大きさは粒子の質量に比例し、距離の二乗に反比例する。
なお 万有引力定数 G は基本定数の一つである。
粒子の運動量 p ならびに運動エネルギー K は次式によって与えられる。
p = mv
K = mv 2/2 = p 2/ (2m)
ただし v は粒子の速度である。
ここで運動量 p と速度 v についてはベクトルであり、
運動エネルギー K についてはスカラーである。
なお v 2 ならびに p 2 は、それぞれ
ベクトルの内積 v・v ならびに p・p を示し、いずれもスカラーとなる。
運動量 p を用いるとニュートンの運動方程式は次式のように記せる。
F dt = dp
∫F dt = p2−p1 (2)
この式(2)から、ニュートンの運動方程式(1)の時間積分形が得られ、左辺のベクトル量 ∫F dt は力積を与える。
すなわち 運動量の変化は力積に等しい。
運動エネルギー K を用いるとニュートンの運動方程式は次式のように記せる。
F・dr = d K
∫F・dr = K2−K1 (3)
ただし dr は変位ベクトルである。
この式(3)から、ニュートンの運動方程式(1)の空間積分形が得られ、左辺のスカラー量 ∫F・dr は仕事を与える。
すなわち 運動エネルギーの変化は仕事に等しい。
[SI 単位]
運動量 : kg m s-1
運動エネルギー : J (ジュール)
速度 : m s-1
[補遺]
ニュートン力学は17世紀中頃にイギリスの物理学者 アイザック ニュートン (Isaac Newton) によって
提唱された古典力学の体系である。
ニュートンの著書「自然哲学の数学的諸原理」 (1687年刊) は有名である。
なお 古典力学には、ニュートン力学の他に解析力学と呼ばれる体系があり、
解析力学にはラグランジュ形式ならびにハミルトン形式などの理論形式がある。
解析力学は歴史的には18世紀に発展した古典力学の分野である。
解析力学は、現代物理学の基礎理論である量子力学を修得するための予備知識として有用である。
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