私鉄時刻表への招待 第5回

東京急行電鉄


〜時刻表発行者・制作者・印刷者が二転三転〜

東急における時刻表の発行は1983年4月発行の「東京急行 田園都市線・新玉川線・大井町線標準時刻表」から始まります。第1号が全線掲載ではないというのはなかなか面白くもあります。東急の時刻表の特徴としては、時刻表の発行者、制作(編集)者及び印刷者が二転三転していること、創刊号から一貫して列車番号の掲載がないことなどが挙げられます。それでは創刊号から順を追って見ていくこととしますが、今回は便宜上以下の様に区切って見ていくことにします。

  1. 創刊号(田園都市・新玉川・大井町線限定)
  2. 協和企画第1期(第2・3号)
  3. アド・東弘の時代(第4〜7号)
  4. 協和企画第2期(第8・9号)
  5. 自社企画編集発行へ〜セラン事務局〜(第10号〜)
  6. 臨時号の話

参考文献:
「東京急行 田園都市線・新玉川線・大井町線標準時刻表」・「東急電車全線標準時刻表」・「東急電車時刻表」各号、松尾定行著「時刻表249路線」新人物往来社、三宅俊彦著「時刻表百年のあゆみ」成山堂書店


1.創刊号(田園都市・新玉川・大井町線限定)

東急時刻表創刊号
東京急行 田園都市線・新玉川線・大井町線標準時刻表
  • 発行年月日:昭和58(1983)年4月
  • 発行:東京急行電鉄(株)鉄道部営業課
  • 企画制作:(株)協和企画
  • 定価:100円

     東急初の時刻表は田玉・大井町線の限定バージョンでした。また、東急初であるとともに協和企画が制作した初の冊子式時刻表でもあります(協和企画はもともと駅発のポケット時刻表の製作代理店です)。協和企画はこれを皮切りに関東私鉄・地下鉄の時刻表を手がけていくことになります。
     内容は急行・快速に網掛けを施し、優等列車が追い越し・追い抜きを行うと段が替わり、どの駅でも列車が発車順に並ぶ「追い越し・追い抜き」を初めて採用しました。そのこともあってか、「時刻表の見方」ページはサンプルを用いて非常に詳細に説明されています。また、東横線・目蒲線・池上線・世田谷線は接続駅の発車時刻表が掲載され、横浜線の全駅時刻表も掲載されています。最終ページには「東急ご利用の皆様に、より一層便利になるよう編集して参りたいと思います。お気づきの点がございいましたらご連絡ください。鉄道部営業課」というお願いがあり、今後の定期発行に期待を持たせる一面もありました。
     なお、私がこの時刻表を購入したのはこの年の12月であり、協和企画発行の小田急線標準時刻表と一緒に横浜西口の有隣堂に並べてありました。このときには「10/1東横線でダイヤ改正がありましたので、発車時刻表を以下の通り訂正いたします」との紙が挟み込まれていました。よって10月〜12月にかけて増刷があったものと推測されます。


    2.協和企画第1期(第2・3号)

    第2号
    東急電車全線標準時刻表(第2号)

  • 発行年月日:昭和59(1984)年4月
  • 発行:東京急行電鉄(株)鉄道部営業課
  • 企画制作:(株)協和企画
  • 定価:250円

    第3号
    東急電車全線標準時刻表(第3号)

  • 発行年月日:昭和60(1985)年4月
  • 発行・監修:東京急行電鉄(株)鉄道部営業課
  • 企画制作:(株)協和企画
  • 定価:250円

     1984年発行の第2号から東急全線の時刻が掲載されるようになりました。掲載順番は東横線、田園都市・新玉川・営団半蔵門線、大井町線、目蒲線、池上線、世田谷線、こどもの国線の順であり、この順番は目蒲線の目黒線・東急多摩川線の分離まで続くことになります。路線図はカラーの折り込みとなり、お手洗い設置駅の表示が目を引きます。本文は創刊号に引き続き追い越し・追い抜き式を採用しており、東横線では各停の急行接続・待避駅がアルファベットで明記されています(菊名:K、日吉:H、元住吉:M、自由が丘:J)。また、第2号より旅客運賃表の掲載が開始されました。なお、創刊号にあった横浜線の全駅時刻表は廃止されています。
     第3号では、東横線はピンクページ・田園都市・新玉川・営団半蔵門線は緑色ページとなっておりました。また、広告が半年前に発行された京浜急行電車全駅標準時刻表に掲載されていたものが載っており、東急沿線とは関係ないためかなり異彩を放っておりました。


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