第九十六回:「新JIS表示」
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第九十六回は、改正される「クリーニングの品質表示」について
メディアで報道される事がほとんどなく、
一般には知られていませんが、
平成28年12月より、
クリーニングに関する品質表示が改正されます
そもそも、日本で販売されている衣類に
付けられている品質表示を『JIS』と言い
よく見ると「セキユ」や「ヨワク」などと書いてある事から分かるように、
日本独自のものでした
海外から輸入された衣類でも、
日本国内で販売する場合、このJIS表示を付ける事が必要です
世界的に展開しているアパレルブランドの商品で、
良く見ると「海外の表示」+「日本の表示」
が付いているのはそのためです
改正により、国際規格であるISOと同じ記号になり、
日本語の記号はなくなります
また、記号の種類が従来の22種類から41種類へと増加し、
より細かい表示になります
消費者庁から資料をいただきましたが、基本的には
5つの「基本記号」
(家庭洗濯・漂白・乾燥・アイロン・クリーニング)
+「付加記号」または「数字」の組み合わせで構成されます
グーグルで「新JIS表示」で検索すると、
消費者庁のpdfファイルが一番上に来るので、
気になる場合は、一度目を通して見ると分かりやすいかと思います
注目は、「家庭洗濯」と
「ウェットクリーニング」を分けた点です
これにより、「家庭で洗濯は出来ないが、
クリーニング店での水洗いは出来る」
という衣類が登場する事になります
また、洗濯機のいわゆる「ドライコース」に関しても、
「家庭洗濯出来ない」=「ドライコースも出来ない」と、
明確に定義され
消費者庁の資料には、家庭洗濯出来ない衣類を
(ドライコースであっても)家庭で洗濯すると、
「洗濯前の状態に戻せなくなる可能性があります」
と明記されています
クリーニング店におけるウェットクリーニングは、
デリケートな衣類を、特殊な技術を用いて水洗いをし
専用の仕上げ設備や、
アイロンなどを使用して仕上げする方法であり、
家庭洗濯とは違うものである、と言うのが消費者庁としての
「家庭洗濯と、クリーニング店によるウェットクリーニングの違い」のようです
ただし、「品質表示が切り替わる事」と、
「その表示を付けた衣類が、一般に普及する事」は別です
短く見積もっても、1〜2年程度の差があると思われるため、
今すぐ覚えておかなくては損をする、と言う事ではありません
ただし、改正される事は確実であるため、
頭の片隅にでも置いておき
気になった場合、すぐにでも消費者庁の
新JIS表示に関するpdf文書を開けるようにしておくと、安心です