第九十五回:「年末のクリーニング屋」
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第九十五回は、ほとんど知られていないであろう、
「年末のクリーニング店の状況」について
クリーニング屋の年末は忙しいのか、
暇なのか、あるいはいつも通りなのか
業界関係者以外の人には、殆ど知られていないと思います
実際どうかと言うと、
「クリスマスを過ぎると忙しくなる。それまでは普通」
と言った所でしょうか
ただしこれは、
どのクリーニング店にも等しく当てはまるかと言うとそうでもなく、
「年内仕上げ締め切り日が、12月の何日か」
・・・によって大きく異なります
大手チェーンは、年末年始に人手の確保が難しいため、
比較的早めに「年内仕上げ」を締め切ります
店舗に人が足りなくても、工場に人が足りなくても、
配送スタッフに人が足りなくても、仕事が回らないからです
大体、25〜28日締め切りの店舗が多いように感じました
「年内仕上げ締め切り日が、
多くの人にとっての仕事納め日より早い」と言う店舗の場合
「どうしても年内に欲しい」と思う人はそもそも利用しません
そのため、極端に忙しいと言う事はないと思われます
当社は、店舗+工場併設の、いわゆる「ユニット店」であり、
毎年29〜30日まで「年内仕上げ間に合います」としています
するとどうなるかと言うと、
「いつもの店に持って行ったら、
仕上がりは年明けになると言われた・・・」と言うお客様が、
当社のような
「年内ギリギリまで、年内仕上げが間に合うお店」に集中します。
しかし、31日を迎えると、
クリスマス前後からの忙しさは一転
多くの人は帰省してしまうのか、大分落ち着きます
「どうしても年内に欲しい」と言うお客様が
引き取りに来られる以外は、平和そのものです
ただ、バブル絶頂期の頃は、
「仕事納めの後は、仕事着をクリーニングに出して新年を迎える」
が当たり前でした
そのため、12月の中旬頃から、
年末の正にギリギリまで、猛烈に忙しかったものです
その頃と比較すると、
忙しいのはせいぜいクリスマス後の一週間程度であり
「クリーニングに出してから新年を迎える」
と言う習慣は大分薄れたな、と感じています
年末年始やゴールデンウィーク、お盆休みなど、
多くの店舗が大型連休に入る前に、
必ずクリーニングを引き取りたい場合
早め早めにお休みの日、
および「その前に仕上がるには、何日までに出せば良いのか」
を、チェックしておく事をお勧めします