クリーニング豆知識

第九十四回:「ネット宅配クリーニング」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第九十四回は、何かと話題の「ネット宅配クリーニング」について


ネット宅配クリーニング


存在そのものを知らない、という方も多いとは思いますが、
クリーニング業界において、
「数少ない成長分野」として、業界紙では何かと話題に上ります

ただ、知名度が一気に上昇したのは、
以前に発生した、いわゆる
「炎上騒ぎ」がきっかけではないでしょうか


ネット宅配クリーニングとは、そもそも、

@利用者がサービスを申し込む
A送られて来た、梱包用の箱に衣類を詰め、業者へと発送する
A業者がクリーニングを行い、利用者へと発送する
(次シーズンまでの保管を同時に行う場合もある)


・・・という仕組みが、主流のようです


事の顛末を取材した業界紙によると、炎上騒ぎを起こした業者は、
品物が集まり過ぎてしまい、クリーニングが間に合わず

「○月受付⇒△月お届け」の契約が、
期日を過ぎても衣類が発送されて来ない
、との事でした

ネット宅配クリーニングは、
既に一部業者間で価格競争が発生しており、

過剰な価格競争の先には、
大抵の場合
「誰も儲からなくて共倒れ」の未来が待っています
炎上した業者は、かなりの低価格を打ち出したとの事


それでもネット宅配クリーニングを利用したいという場合には、
ある程度知名度のある店舗
(チェーン店など)を利用するのが無難でしょう


また、クリーニング会社ではない
業者が募集・受付をしている場合

どのようなクリーニング会社で洗い・
仕上げが行われるのか分からない

・・・と言う事も考えられます


可能であれば、実店舗を何度か利用し、品質を確認した上で、
その業者のネット宅配を利用するのが無難ではありますが、
「実店舗と同じ仕上げになるかどうか」はまた別です

ネット宅配クリーニング市場は、今後も拡大して行くでしょう
しかし、シミ抜きや「とにかく早く欲しい」と言った相談のような、
「対面型の店舗の強み」もあり

そう簡単に、
「ネット宅配サービスが、実店舗を完全に駆逐してしまった」
と言うような事にはならない、と考えています