クリーニング豆知識

第九十二回:「ガウチョパンツ」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第九十二回は、G.Uの「ガウチョパンツ」について


ガウチョパンツ


今年(2015年)流行した、
すそ部分が幅広の、女性用パンツです

流通新聞の記事によると、g.u発のヒット商品とのこと

このガウチョパンツ。出回り始めた当初から、
当社では
「これは普通のパンツではないだろう」
という話が出てはいました


プレス機で線を付けるようなズボンとは違い、
広いすそ部分全てにアイロンをかけて伸ばす必要があるため

一般的な紳士スーツのズボンと比較して、
すそ部分に関しては
2倍の手間がかかります


とは言え、2倍の料金(1000円)
にする訳にもいかないだろうということで

色々と議論した結果、
「ガウチョパンツ:通常のズボン+100円(600円)」
と言う料金に決定しました

扱いとしては、綿入りや合成皮革など、
「形状や素材が特殊なズボン」と同じ、と言う事になります


ユニクロのウルトラライトダウンもそうですが、ユニクロとG.Uは、
「クリーニング店側からすると、
どう分類すれば良いのか分からない」

という商品がたまに出てきます

ウルトラライトダウンは、
充填物が確かにダウンではありますが、ジャンパーのような薄さです

ガウチョパンツも、キュロットの変形とも、ズボンの変形とも言えます
このあたりは、クリーニング店によって判断が分かれる所ではないでしょうか


ユニクロつながりでもう一つ、
ユニクロに
「ウォ−ムTシャツ」と言う商品があり、

形状としてはジャンパーですが、家庭で洗濯出来るものなので、
クリーニングにはあまり出ないのですが、
中々の優れた製品だと思います


ユニクロのヒートテックは、基本的に下着であり、
今年ようやく男女用の
「ヒートテックジーンズ」
「ヒートテックセーター」が発売されていますが、

「一番外側に着てもおかしくないヒートテック製品」
・・・と言うものはほとんどありませんでした

このウォームTシャツはヒートテック製品ではありませんが、
@薄い
A暖かい
B一番外側に着てもおかしくない

の3点を兼ね備えています

(実際、このウォームTシャツを一番外側に着て、
ランニングしている人を見かけた事があります)


チラシでの扱いも小さく、昨年は販売していないか、
あるいはチラシに載せていなかったかと思われますが

このような
「思ってもみなかった良い製品」
を突然出して来るのが、
ユニクロという企業の面白い所でもあります