第七十六回:「100円コーヒーの衝撃」
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第七十六回は、コンビニが攻勢をかける「100円コーヒー」について
2013年の「ヒット商品番付」の横綱に、
「セブンカフェ」が選ばれました
このセブンカフェ
要は「セブンイレブンで買える、
100円の本格コーヒー」です
コンビニチェーンで初と言う訳ではなく、
以前より別のチェーン店でも取り扱っていました
しかし、2013年にセブンイレブンの
コーヒーが選ばれたという事は、
ようやく「多くの人が、価格以上の価値がある、と感じる水準に達した」
・・・という事ではないでしょうか
このやり方は、『100円という価格』に
価値を持たせる方法であるため、
消費税増税を理由に105円〜110円に値上げをすると、
一気に売り上げが減少する恐れがあります
そのような事情を見越した上で、
100円でも利益を出す事が出来
しかも多くの人に
『美味しい』と言ってもらえる品質のコーヒーを提供するため、
セブンイレブンはかなり大がかりな準備を行ってきたようです
流通新聞で品質についての記事が掲載されていましたが、
「100円という価格からは
考えられないほど、高い品質」のようです
このようなコンビニコーヒーに戦々恐々としているのが、
コーヒー専門のチェーン店でしょう
100円で高い品質のコーヒーが買える
しかも、コンビニに寄ってすぐ買える
上手に差別化を図ることが出来ないチェーン店は、
大きな打撃を受ける事が予想されます
上手に差別化が出来ている代表的なチェーン店と言えば、
やはりスターバックスではないでしょうか
スターバックスは「コーヒーや軽食を売る」のではなく、
「スターバックスという空間
(サードプレイス)を提供する」という理念が、
社員はもとよりアルバイトにまで浸透しています
元CEOの著作を一通り読みましたが、社員もアルバイトも、
スターバックスという会社を心の底から愛しており、
この場所で働く事が出来る、という事を幸せに感じています
ディズニーランドも同様ですが、
不況下でも、協力なライバルが出現しても、
このような会社は強い傾向にあります
お店を訪れた人に、楽しんで欲しい、幸せな気持ちになって欲しい、
と自然に考えて行動する人が多い場所には、
「代わり」がないのです
スターバックスをこよなく愛する人達の多くは
「コーヒーを買う」と言うよりは
「自分にとって心地よい時間のために、お金を払っている」
・・・と考えています
その場合、よほど高くない限りは、支払う金額が問題ではないのです