クリーニング豆知識

第七十五回:「8万円のウォークマン」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第七十五回は、「今だから出た高額商品」について


ソニーが、ウォークマンの現行最上位機種
「ZX」を2013年12月に発売しました

そのお値段、メモリーが128ギガバイトのもので、

8万円です

iPod32ギガバイトの約2倍、
同じウォークマンの売れ筋「Fシリーズ」の、約3倍の金額です

思うにこの商品、アベノミクスの効果で
高額商品の売れ行きが良い今だからこそ、
商品化にこぎつけたものではないでしょうか


商品の説明を見る限り、
革新的な技術を搭載しているという事ではなく

「良い音のために、徹底的にこだわり抜いた本体」
のため高額になった、という印象を受けます

2014年初頭における、各百貨店の福袋にも高額のものがあり、
今年は好調な高額商品の販売に力を入れているようです


一方、
「安さ」を売りとしている
牛丼チェーン店は業績の不振が続いています

スーパーや弁当チェーンが、
300〜400円程度の弁当・惣菜に力を入れている事や

吉野屋の牛丼280円という価格に、
消費者が
「慣れて」しまった事が原因と言われています

クリーニング業界も全体として好調とは言えず、
一つの家庭がひと月あたりクリーニングに
使用する金額は、前年割れが続いています

この、
「高額商品の売れ行きは好調である一方、
『安さ』を売りにしている業態は苦戦している」

という状態は何を意味するのか


結局の所、長い不況の影響で

「消費者に節約癖がついた」
という事ではないでしょうか
景気が浮揚した、ボ−ナスが増えたからと言って、
ライフスタイルそのものが、いきなり大きく変わる訳ではありません

節約一辺倒の生活から、
「節約出来る部分は可能な限り節約し、
浮いたお金+増えた分の給料で、欲しかった物を買う」

という形へ変化してきたな、という事を感じます


「アベノミクスの恩恵は、まだウチには来ない」
・・・と言っているだけの場合

殆どの業態で、いつまで経っても期待する効果は来ないでしょう
恩恵を享受出来るのは、そのような恩恵を
積極的に取り込むべく、自分から動いた人だけです