クリーニング豆知識

第七十四回:「異なる客層を呼び込む」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第七十四回は、「客層を広げる」という事について


ハイデイ日高のチェーン店、
日高屋の業績が好調なようです
流通新聞の記事で代表者へのインタビューがありましたが、
そこに
「この時代において、
売り上げをアップさせる方法」
の一つを見た気がします


牛丼を280円に値下げした吉野屋は、
想定した程の売り上げアップには繋がらず、
2014年初頭から「ビッグアメリカ」で
攻勢をかけているマクドナルドも、2013年は不振続きでした

では、そのような状況の中、
何故日高屋は好調だったのか

代表者がインタビューではっきりと述べていますが、
「居酒屋の客を取り込んだ事」が一因です

事実、日高屋が出店した地域の居酒屋は、
売上が減少しているそうです


日高屋は以前より、会社帰りの
サラリーマン向けのアプローチを続けてきました

具体的には、
「会社帰りに、ギョーザとビールで一杯飲んでいける店」
というようなイメージを、多くの人に持ってもらえるよう、
情報を発信する努力を重ねてきました

この戦略は功を奏し、
日高屋は
「ラーメンのチェーン店」であると同時に

「居酒屋の変わりになる店」というイメージを
多くの人に持ってもらえるようになりました

その結果、日高屋は
「会社帰りに、一杯飲んでから帰る層」
の一部を取り込む事に成功しています

マイナスのイメージを持つのは一瞬ですが、プラスのイメージ、
あるいは認識そのものを変化させるという事は、
一朝一夕で出来る事ではありません

正に、地道に努力し続けた結果、
多くの人の認識を変えた、良い例だと思います


この事例から見える、
冒頭で述べた
「売り上げをアップさせる方法」の一つとはつまり、
「異なる層のお客様を呼び込む事」にあります

クリーニング業においては、修理や保管サービス、
通常は専門業者に外注している
、皮革・毛皮の自家処理などが挙げられます

ただし、
既に市場において、圧倒的なシェアを持つ業者」
が存在する場合、ニッチ層を狙うなり、思いっきり低価格、
もしくは高付加価値・高価格にして特色を打ち出さない限り、
大抵の場合は新しいサービスを始めても上手く行きません


日高屋の場合、大手の居酒屋に
真っ向から勝負を挑むのではなく

「品数は少ないが、食べもしないお通しもなく、
1000円も出せば満足出来る」
という点に特化しました

大人数の客層や、
様々な料理が揃えてあるような居酒屋を好む客層は、
始めから取り込もうとしていません

これが売り上げアップの唯一の正解という訳ではありませんが、
「今まで接点のなかった客層を、上手に呼び込む」
ことのお手本と言えるでしょう