クリーニング豆知識

第七十回:「税抜き表示のからくり」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第七十回は、2014年4月に迫った消費税率アップについて



2014年4月の消費税率アップ
(5%⇒8%)が、いよいよ迫ってきました

その事に関して、新聞で
「金額の税抜き表示」に関する記事をいくつか目にしました


最近の風潮として
「税込表示」が常識ではありますが、
業界によっては
「税抜き表示を推奨する」
といった動きもあるようです

消費者目線で見ると、
「税込表示」の方が分かりやすいに決まっています
しかし、
「売る側」の視点で見た場合、
「税抜き表示の価格を付ける」という事は、とても理解できます


何故かというと、取扱い品目の多い、
特に大型のスーパーなどでは

「3月末日の閉店後、4月初日の開店までに、
消費税率8%に合わせた値札を、
すべての商品に付け替える事は、現実的に不可能」
だからです


これが元々
「税抜き表示の値札」を付けていた場合、
「3月末日の閉店後、レジの消費税率の設定を
8%に変更するだけ」
で済みます

そのため、「消費者にとって分かりにくい事は承知していても、
現実的に対応が不可能である」
というのが
「売る側」から見た税抜き表示と言えます


ニュースを見ていると、商店街の店主にインタビューして、
「消費税率のアップや原材料の値上がりを、価格に転嫁するか」
といった事をよく聞いていますが

大手メーカーの場合、スーパーのレジ袋が
ほぼ同時期に有料になった事などを見ると

「同業他社の反応を見ながら決める」
という対応が多いのではないでしょうか

ちなみに、消費税率のアップ後に
「増税分を還元」というセールは禁止されています
増税分を還元とは言わなくても、3%分を値引きなど、
「増税分を値引きします」と捉える事が出来る場合は違反だそうです

しかし、政府としても業界側に配慮して、そこまで縛りたくはないのか、
「はっきりと増税分を還元、と言わないセールであれば大丈夫」
という何とも玉虫色の決定をしています


2014年の増税後、値上げをする企業の対応には

@値上げ(価格改定)をすると宣言し、
ポスターやホームページではっきりと分かりやすく伝える
A特に何も言わず、こっそり値上げする


の2つに分かれると思いますが、こういう時に、
会社としての消費者に対する姿勢や、
経営陣の考え方が浮き彫りになるため

名のある大手メーカーはそれぞれどういった反応をするのか、
非常に興味深いと思います