クリーニング豆知識

第六十七回:ヒット商品とは

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第六十七回は、売る側から見た『ヒット商品』について


常日頃からセールやキャンペーンの事を考えていると、
「買う側」から見たヒット商品と、
「売る側
」から見たヒット商品は、つくづく違うものだと思います

最近のヒット商品の例であれば、
マルチャンの
「正麺」、いなばの「ツナカレー缶詰」
ドコモが参入し話題となった
「iPhone5s」など


当社では、9月の中旬に
「汗取り100円お試しキャンペーン」を行いましたが、
キャンペーン期間である10日間(9/14〜9/23)
に受注した汗取り加工の数と

その直前の10日間(9/4〜9/13)に
受注した汗取り加工の数を比較した所、
約5倍でした

10倍、20倍なら大成功と言える所ですが、
まずまずの結果と言えます


売る側からヒット商品というものを見た場合、
消費者側が
「買う準備が出来ている状態」でいる所に、
新商品を発売したり、セールを行う事でヒットに繋げる、
という方程式を考えます

(逆に、出費のかさむ行楽シーズンは、
高額商品のセールを控える、というような事も考えたりします)


iPhone5sの場合は、
もう何年も「iPhoneが欲しい!」
と思っていたドコモユーザーにとっては

正に
「いくらでも出すからそれを買いたい!」
と思える商品でしょう


当社の汗取り加工の場合は、
店頭およびホームページにおいて

「汗取りの必要性」
を訴え続けていた事や、
今までに汗取りを利用した事があるお客様など

「ズボンの汗取りをしようと思っていた所に、
100円キャンペーンが始まった」
という所に、
受注数5倍という結果が繋がった、と考えています


つまり、何の下準備もなく、
いきなりセールやキャンペーンを行っても、
効果が薄いのです

消費者側の「買いたい」と言う気持ちを、
ある程度高めておく必要があります


瞬間的に良い売り上げを記録する事があっても、
セールが終わった途端に減速する事が多い

「セールやキャンペーン終了後にも、
好調な売り上げを継続させる」
という事を考えた場合

セール終了後にも使えるクーポン券を配布したり、
セール期間中に次のイベントを告知して

「次回の来店」
に繋げるなど、工夫が必要になります

そして、
「買う側」はそのような
「売る側の事情をいちいち考える事はありません

自分にとって利益になると思えば買うし、
そう思わなければ買わない、というだけです


そのような視点でセール・キャンペーンを眺めてみると、
ミスタードーナツの
「ドーナツ100円セール」は、
「来店のきっかけ」
を作る、上手な例と言えるでしょう

新聞折り込みのチラシを良く見ると、
100円になっているドーナツは一部であり

裏面に毎回新作のドーナツの写真が掲載されています
そして新作のドーナツは値引きしていない
ここがポイントです


つまり、
「『ドーナツ100円』で来店のきっかけを作り、
値引きしていない新作ドーナツのついで買いを誘う」
という戦略です

セール期間の間隔も、長すぎず短すぎず、
かつコンスタントに新商品を投入しており、
しかもそれをずっと継続している、
という点で非常に参考になります


チラシで、テレビのCMで、
店頭の告知で
「今だけセール!」
「今だけキャンペーン!」というものがあった場合、
「何故、今、セールをしているのか?」を考えると

その会社がどういう消費者を相手に、
どういう戦略を取っているのか、が透けて見える事があり、
そこから会社としての方針が見えてくる事があります