クリーニング豆知識

第六十五回:メッシュシャツにご注意

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第六十五回は、今後普及するかもしれない「メッシュシャツ」について


メッシュシャツ

と聞いてどのようなシャツの事であるか、
すぐに分かる人は、まだまだ少ないと思われます

見た目は普通のワイシャツと変わりがありません
ただし、裏地が「通常の生地+メッシュ素材の生地」
の二層構造のようになっており、
背中部分の通気性に優れています

このシャツ、当社ではワイシャツとして扱っていません


それは、通常のワイシャツと同じように高温での洗浄・プレスを行うと、
メッシュ生地の部分が傷んでしまう可能性があるためです


そのため、高温洗い・プレス機仕上げのワイシャツ(200円)ではなく、
常温洗い・アイロン仕上げのオープンシャツ(500円)での扱いとなります

以前に、このメッシュシャツを大々的に扱っている広告を見ましたが、
そこには当然、
「クリーニング店によっては、ワイシャツでの扱いにはなりません」

・・・という事は、一言も書いてありません


消費者自身が、判断するしかない訳です


以前にこのコラムでも取り上げたニットシャツと同様、
「クリーニング店で指摘を受けて初めて、
ワイシャツとしては扱えない事に気付く」


・・・というお客様がほとんどであり、
当社としてもいつも申し訳なく感じています


「クリーニング店によっては、
ワイシャツとして洗えない」
という事を自覚して
購入していた場合は問題ありません

ただ、ほぼ全てのお客様が
「ワイシャツだと思って購入している」のは確かです

販売店側からすると、
「ワイシャツとして扱ってもらえないかもしれない」という事は、
販売する際にマイナスとなる情報なので、
積極的に伝える事は中々難しいでしょう

結局、消費者側が自分で情報を
集めて判断するしかないという事です



メッシュシャツは、機能的には優れた製品であると思います
ただ、ワイシャツとして扱ってもらえないかもしれない、
というリスクを抱える製品であるという事は、
クリーニング業者としては忘れないで欲しいと思います


追記

仕上げのやり方を工夫し、
通常のシャツの料金+30円(=230円)でお受け出来るようにしました