クリーニング豆知識

第六十一回:洗濯王子のセミナー

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第六十一回は、話題の「洗濯王子」こと中村祐一さんについて


『洗濯王子』こと、中村祐一さんのセミナーを受けました
正確には、クリーニング店向けの
マーケティングセミナーにゲストとして招かれ、
色々なお話を聞かせて頂きました

印象に残っている事は2つ

@テレビに出るようになったきっかけ
A「自分の技術は業界全体で言うなら、
たぶん中くらい」という位置付け



まず@ですが、これは
「既にテレビに出ていたような方に話を聞いた」というものでした

クリーニング業界において、
『シミ抜きの達人』や『こだわりの仕上げ』などの点で有名であり

テレビに度々出演されている方に実際に会ってみて、
「どういうきっかけでテレビ出演をする事になったのか?」
という話を聞いてみたそうです

そのような活動を通して、テレビに出演されていた方と知り合いになり、
テレビ局側から
「こういう件に関して、良い人いませんか?」と言われた時、
その知り合いの方が、中村氏を紹介してテレビ出演が実現した、との事でした


では、そもそも何故テレビに出たかったのかと言うと、
「クリーニングに関して困っている人を助けたい 
『このシミは、こうすると良いですよ』、
『このシワは、こうすると取れますよ』
といった情報を、もっと広めたかった」
と語っていました

そして、
「同じ事を考えている人はたくさんいる
でも、テレビに出た自分と、まだ出ていない人。


その違いは、『テレビに出ようと思って、
実際の行動を起こしたかどうか』だけです」
と言われていた事を、よく覚えています


次にAですが、これは「会社としての方向性」のお話になります

中村氏いわく、
「自分の技術は、業界全体で言うと、多分、中くらい
まだまだ上に、もっとすごい人がたくさんいる
でも、消費者側からすると、
自分と『もっとすごい人』の違いはあまり分からない

自分の持っている技術でも、十分人の役に立つ事は出来る

なら、無理に上を目指すのではなく、
『今の技術で出来る事』を考えた
」との事でした


この考えは、非常に的を得ていると思います

我々クリーニング業に携わる人間は、
「技術を磨けば、お客様はきっと分かってくれる!」
と考えてしまいがちですが

「現在の技術で出来る事を、きちんとやろう
その上で、技術の向上を計ろう」
・・・という考え方は、正に目からウロコでした


本人はとても気さくな方で、
「普通の街のクリーニング屋さん」という印象を受けました

またセミナーで、
「クリーニング業という業態はもうやめようと思っています。
それよりも、消費者のクリーニングに関する悩みを、
解決するような仕事に集中したい」
と、熱く語っておられました

ブログも連載されているようなので、
興味がある方は是非ご覧になる事をお勧めします


ちなみに、「王子」という名称のせいか、
よく「爽やかですね!」と言われる事が多いけれど

それはテレビが植えつけたイメージであって、
自分は爽やかな人間ではない、という事も言われていました


テレビによって与えられたイメージに、
我々は踊らされていないでしょうか

とにもかくにも、様々な『学び』を頂いたセミナーでした