第五十九回:ニッパチと回数券
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第五十九回は、客商売における「2・8月」について
客商売を生業とする人達の間で、2月・8月を指す
『ニッパチ』
という言葉があります
これは、「2月は寒く、8月は暑いため、
多くの人が外出を控えた結果、客商売は暇になる」
という事を表しており、当社も例外ではありません
当社では閑散期(=客数が少ない時期)であるこの2・8月に、
数年前から「ワイシャツ回数券」の販売を実施しています
この券は、「10枚分の価格(2000円)で11枚分使える」
=1枚タダになるというもので
プリペイドカードに代わる、
「毎回現金で支払う必要のない方法」としての当社からのご提案
そして何より「寒い時期も、暑い時期も、
毎週Yシャツを出して頂いているお客様へのサービス」
という目的で始めました
ワイシャツ回数券の販売を開始すると、
2・8月毎の波はあるものの年々売り上げが伸び
楽しみにしているお客様も多く、
今や2・8月のイベントとして欠かせない存在となっています
(2013年より、毎年2・8月の販売から、
2・5・8・11月の、三ヶ月おきの販売形式に変更しました)
「商売をする側」にいてつくづく感じる事は、
「お客様の反応は読めない」という事です
ワイシャツ回数券の販売を始めると、
いきなり5枚(=ワイシャツ55枚分)買われる方、
「とりあえず1枚、なくなったらもう1枚」という方
また、数ヶ月ぶりに来店されて、
回数券だけ購入される方(ワイシャツはその際出さない)、
迷って迷って、販売最終日に何枚も購入される方など、
「買い方」は本当に人それぞれだと思います
回数券自体の売り上げは、
全体の売り上げと比較すると微々たる物ではありますが
販売を始めて良かったと思うのは、
「回数券の購入パターンは千差万別である」という事の発見
そして何より、回数券に関する質問
(割引率、次の販売はいつなのか
有効期限はいつまでなのかなど)を通じて、
お客様との「繋がり」を得られた事が一番の収穫ではないかな、
と感じています
回数券の販売形式はずっと今のままで良いとは思っておらず、
今後も必要に応じて変えていくつもりではありますが、
「回数券の販売」そのものは、今後も続けていくつもりです