第五回:品質表示の怪A

前回、『見た瞬間「???」となってしまう品質表示がある』、というテーマで書きました。
今回はその続きです



◎水洗いできないワイシャツ・ブラウス


「このワイシャツorブラウスを着たら、汗をかくな」と言われているような印象を受けます


何故かと言うと、表示通りに洗おうとすると水洗い・・・は出来ないので、
自然とドライクリーニングになります
そして、ドライクリーニングで汗は落ちません
結果、エリや脇の部分に汗が残留し、気付いた時には黄色いシミになって出てきます

こうなると、漂白処理などのしみ抜きが必要になりますが、
漂白処理を行うと、生地や柄によっては衣類がダメージを受ける(薄くなる・色が抜ける)、
恐れもあるため、処理が難しいものもあります


更に上といいますか、「コレはすごいなぁ」と思ったのが、
品質表示に、「洗う際はボタンを取り外してください」という表記のあるワイシャツ
ボタンは「糸で縫ってとめて」あります

糸を切ってボタンを外してから洗い、洗ったらまたボタンをつけてください、
という事になるかとは思いますが・・・ここまで来ると、
作った側のプライドというか、責任感を感じます

洗っている間にボタンが割れる・欠ける、といった事はよくある事なので、
万が一にでもそういった事が起こらないよう、毎回ボタンは外してほしい、という事でしょう


ブラウス・ワイシャツに限った事ではありませんが、
水洗い不可の衣類を家庭用洗濯機で洗ってしまい、
縮んだり脱色した場合、メーカー指定の洗い方以外の方法で処理してしまっているため、
基本的にはメーカーの保障対象外になります

前回の「洗うな」の注意点と同様、ブラウスやワイシャツ、オープンシャツといった、
汗が付着しやすい衣類は、念のため品質表示を確認してから購入した方が良いでしょう

特に、変わった形状のブラウス・オープンシャツや、
ボタンが金属だったり、一部に金属を使用しているような衣類は要注意です

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

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第五回目は、前回に引き続き衣類の品質表示にまつわるお話