第六回:ドライクリーニングとは

◎ドライクリーニングとはそもそも何の事か


エマールなど洗剤のCMで、「ドライマークのものも洗えます」と宣伝しており、
最近では『ドライクリーニング』という名称はかなり浸透してきたように思います

しかし、肝心の「ドライクリーニングとはどういうものか?」という点に関しては、
まだまだ知られていないという印象を受けます


ドライクリーニングとは、ドライ(=乾燥)の名前の通り、
水を使わない洗い方の事です

では何を使って洗うかというと、多くの場合は油(石油系)です

ドライクリーニングと言っても1種類だけではなく、
水を使わない洗い方全般を指す、と考えて間違いないでしょう

最近では、従来の石油系に加えて、柑橘類のエキスを洗剤に混ぜ込んだものや、
特殊な製法で石油に水分を含ませた洗剤なども開発されています


では、ドライクリーニングは家庭での水洗いと比べてどこが違うの?というと


・衣類へのダメージが少ない
・油汚れをよく落とす

に加えて、

・専用の機械が必要になる


という事が大きな特徴です

スーツやウール100%のセーターがドライクリーニングしか出来ないのは、
水洗いすると型崩れや縮みを起こすからです

ちなみに専用の機械は高いです。とても高いです。
当社には、1度に20kg程度の衣類を処理可能なものが1台あります。

水洗い機も、業務用の20kg処理可能なものを使用しています
ワイシャツ1枚=0.2kg換算で、1度に100枚処理できます


一方、ドライクリーニングには「水溶性の汚れはあまり落ちない」という弱点もあります
そのため、ドライクリーニングしか出来ない衣類に関しては、
洗う前のシミヌキが重要になってきます

ただ、生地によっては水に弱いものもあるため、
「ドライクリーニングのみの衣類には、水溶性のシミはなるべくつけないよう気をつける」
という事が衣類を長持ちさせるポイントと言えるでしょう


「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

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第六回目は、名前は知っていても内容は知らないドライクリーニングについて