第四十六回：ウコン飲料の脅威

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第四十六回は、宴会シーズンは特に気をつけてほしい、ウコン飲料にについて

年末年始などの宴会シーズンになると、
盛んに宣伝されているウコン飲料
実はこの飲料、衣類に付くとかなり厄介です

見た目からしてかなり濃い黄色をしていますが、
事実、衣類に付くとシミヌキが大変です

このコラムでも何度か触れていますが、
「シミヌキする方法がある」事と、
「衣類にその方法が使えるのか」は別です

水洗い出来ない衣類に汗ジミが出来た場合、
シミを確実に取ろうとすると、縮み・色落ちの危険があり

危険のない範囲でシミヌキをやろうとすると、
完全には落ちない・・・という事は多々あります

ウコン飲料が厄介なのは、飲むタイミング

「これから宴会」という際に飲む事が多いため、
スーツやコートといった、水洗いの出来ない、あるいは薬品を使用した、
強めのシミヌキのできない衣類に付く事が多いです

そのため、衣類にダメージを与えない範囲での
シミヌキとなると・・・自然と方法が限られてしまいます

そして、その限られた方法の中で
ウコンはきちんと取れるのか？というと、難しい場合があります

当たり前ですが、CMで
「衣類に付くと厄介なので、気を付けてくださいね」といった

マイナスイメージを与えるような事は宣伝しません
ウコンなのに飲みやすいとか、効き目抜群とか、そのようなCMばかりです

「消費者にとってプラスな情報を前面に。
　マイナスとなる情報はなるべく出さず、
　聞かれるまで言わない。
　聞かれても明確に答えない」

・・・というやり方は、良いとか悪いといった問題ではなく、
「宣伝」という媒体の基本的な戦略です

そのため、「この製品は、この場合に危ないらしい」といった情報を収集し、
自分で自分の身を守るしかありません

世の中には、耳障りの良い情報が溢れています
そのような情報を鵜呑みにせず、ぜひ「他の視点からの情報」も、
可能な範囲で集めるようにして下さい