クリーニング豆知識

第三十四回:お陰様で

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

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第三十四回は、クリーニング業界について


お陰様で当社、有限会社トウヨコランドリーは、2011年で


創業65周年を迎えます

CMなどで、よく「おかげさまで、40周年」などと言っているのを見ると、
「ウチは、この会社よりも歴史があるのか」としみじみ思います
店舗を構える新丸子駅周辺でも、今や老舗と言えるお店の一つです


しかし、クリーニング業界そのものは、
バブル崩壊後非常に厳しい状態が続いています
その事に関してクリーニングの業界紙に、
「1995年からのクリーニング年間支出の推移」という記事がありました

「店舗を構えていれば、お客さんがやって来る」と言われたバブル期から、
バブルがはじけ、不況がやってきて、デフレになる中、
「クリーニングに1年間使う金額」はどう変化しているのか?

結論から言うと、1995年から2010年までの間に、

半減しています

減っているとは言われていますが、激減です
具体的には、1995年の17000円から、
2010年には7800円まで下がっています


これは、ユニクロのような
「家で洗える」衣類の普及や、
洗濯機の高性能化、
「ドライマークも洗える」
ような洗剤の登場などが主な要因です

クリーニング業に携わっていて感じるのは、
「この減少した需要が、劇的に回復する事はない」という事です

家で多くの衣類を洗う事に慣れた方が、
景気が良くなったからと言って

今まで家で洗っていた衣類を、
クリーニングに出すようになるか?と言うと、
今まで通り家で洗って節約するのが普通ではないでしょうか


そのような状況の中、お陰様で当社は、
2010年のワイシャツ点数が昨年比5%アップ。
スーツ類に関してはそれ以上の25%アップを記録しました


団塊の世代の定年退職が始まり、
業界でも「ワイシャツ・スーツの点数は減って当たり前」
・・・と言われる中、非常にありがたい事です


正直な所、当社は販促という面で大掛かりな事はしていません
折込チラシを年に数回

他はポスティングのチラシを数回行っているだけで、
毎日毎日、品質を守り、納期を守り、
お客様との「約束」を守っているだけです

ただ、「いつものこの時間に持っていけば、
必ず間に合う」という事や

「ボタンが取れていたら付けられていて、
エリ・ソデもきれいになっている」といった、
いわば
「安心して出せる環境を守る」という事が重要視されている、
という傾向をここ数年強く感じます

その部分を守った上で、その他のシミヌキやプレスなど、
「家では出来ない」事を業として請け負う事が
クリーニングの本質ではないかと


ただし、業界紙の都市別クリーニング支出を見ると、
約3分の2の都市の支出額が減少している中、
川崎は支出額が1万円を超えており、来店回数も平均6.5回程度で
「場所に恵まれている」面もあるようです

ちなみに、全国で最もクリーニング支出が多いのはやはり
東京でした
その後に金沢、奈良、札幌、川崎と続きます。


そのような状況の中、当社は周辺地域における、
「困った際の駆け込み寺」的な
クリーニング店でありたいと考えています

先日、お客様が衣類をお持ちになり、
「これは家で洗えるのか?」と聞かれました

表示を見たら、手洗いマークに×が付いていなかったので、
「洗濯機ではなく、手洗いすれば家でも洗えますよ」と答えました

「じゃあ、家で洗います」と言って帰られました
商売にはなっていません。
でもそれでいいんです

困ったらあそこへ行こう」という店舗
当社が目指すのは、そういうお店です