第三十二回：寿命は三年。防風ジーンズ

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

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第三十二回は、ユニクロの新商品について

この冬、ユニクロが「暖パン。」のキャッチコピーで、
保温機能のあるジーンズを発売しました

女性用は、ヒートテックの技術を用いた「ヒートテックジーンズ」
男性用は、防風機能のある「防風ジーンズ」

男女で「ヒートテックジーンズ」
とした方が分かりやすいとは思うのですが・・・

これも戦略の一貫でしょうか
（その後、男性用のヒートテックジーンズも登場しました）

発売後、早速店舗へ行って現物を確認してきました
そこで気になったのが、
男性用「防風ジーンズ」の注意書き
「ポリウレタン樹脂を使用しており、
ポリウレタン素材は約３年で劣化します」とあります

以前発売したネオレザーにも
同じような注意書きがありましたが

今回もネオレザーの時と同様、
品質表示に「約３年で劣化します」と表記があるのみで

店頭での注意書きもなく、
「買ってから気づいた」という方も多いのではないでしょうか

「３年で劣化する」と品質表示に表記はするものの、
店頭においてその事についての周知を徹底するつもりはない、
というのがユニクロのスタンスのようです

何度かユニクロの話をしていますが、
それは当社でも
「ユニクロの製品を取り扱う事が非常に多いから」です

「家で洗える」というイメージの強いユニクロですが、
上着やセーターはドライクリーニングのみのものもあり、
ズボンは水洗いすれば線（タック）が消えてしまうため、
線を付けるには機械でプレスする必要があります

そのため、当社でも
「次々と発売されるユニクロの新商品を、どう扱うか」は、
常に頭を悩ませている所です

例えば、色やサイズによっては欠品が相次いでいる
「ウルトラライトダウン」は、
品質表示にかなり細かい注意書きがあります

しかし、購入したほとんどの方は、
その表記を読む事はないでしょう

そしてクリーニング店に持ち込んだ際、トラブルになる可能性がある訳です
その場合どうするか

ユニクロの製品は、価格と、
機能やデザインのバランスを考えると、とても良く出来ています
しかし、クリーニング店にとっては
「扱いに困る」ような製品があるのも確かです

ユニクロに限った事ではありませんが、
衣類を購入する際、なるべく品質表示を読んで、
不明な点は従業員の方に確かめた方が良いでしょう