第二十五回:包装の袋は取るべきか?

テレビ番組「世界一受けたい授業」において、出演していた講師の方から
『クリーニング屋さんの袋は、お店の人がすぐ渡せるようにするために付けてあるもので、
そのままの状態では、繊維は呼吸しているため衣類に良くない
持ち帰ったら、すぐに袋は外した方が良い』

という趣旨の発言がありました

お客様から、この件についてお問い合わせがあったので、
今回はその事について補足を少々


包装の袋について、基本的には、
『持ち帰ったら袋を外し、クローゼットやタンスに保管する』で間違いありません

ただし、タンス・クローゼット内の湿度管理には常に注意を払いましょう
内部の水分を吸収するような薬剤(吸湿剤)を必ず置き、
皮など水分を含みやすい衣類に関しては、天気の良い、
比較的湿度の低い日に、定期的に日が当たらない場所で陰干しすると良いでしょう


ただ、レインコートやジャケットなど、
『ちょくちょく使う事があるため、部屋にハンガーのまま掛けっぱなし』という場合には、
保護のために袋をつけたままにしておくのも一つの手です

ただしこれは、ハンガー仕上げの衣類に限ります
ハンガー仕上げの包装は下が空いているため空気が出入り出来ますが、
タタミの衣類は基本的に密閉された状態であるため、
袋から出しておいた方が良いでしょう

衣類にとって良くないのは、「水分を含んだ状態のまま、長期間密閉される事」です

プレスの際に使用する蒸気や、空気中の水分に触れる事は避けられないため、
包装された時点で、衣類は多少なりとも水分を含んでいます
大事なのは、長期間そのままの状態にはしない事です


季節の変わり目には必ず、「クローゼットから出してみたら、カビだらけだった!」
という衣類をお受けしますが、気を付ける事でカビは防ぐ事が可能です

正しい方法で衣類を収納し、また来年も活躍してもらいましょう


「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

バックナンバーは、こちら


第二十五回目は、包装の袋について