第二十四回:ユニクロのダウンの洗濯表示について
この冬、ユニクロはダウンジャケット類を1400万着売ったそうです
以前に1万円を切る価格でダウン製品を投入して話題になりましたが、
もはやその値段が定着し、当たり前になりました
他ブランドでは、1着数万円もするようなダウン製品もたくさんありますが、
ユニクロの「低価格・高品質」の徹底ぶりには、いつも感心させられます
しかし、大ヒットしたそのダウン
一部、洗濯表示が「ドライクリーニング・水洗いともに×」となっているものがあるようです
そして、「クリーニング店での水洗い」を推奨する表記があるとの事
クリーニングの業界紙で、この点について大きく取り上げられていました
購入した方が、洗う段階になって初めて家では洗えないという表記に気付き、
クリーニング店に持ち込んでみたものの、クリーニング店側としても、
どうして「家では洗えず、クリーニング店での水洗いが推奨」なのかがハッキリと分かりません
そのような点が、業界紙でも問題とされていました
ではなぜ、そんな紛らわしい表記をユニクロは付けたのか
ユニクロが以前に販売していた、「エアテック」という商品で、
家庭用洗濯機での洗浄中、洗濯機が転倒するという事故が起きた事がありました
そのような事がまた起こらないための対策、かどうかは分かりませんが、
クリーニング業者から見ても、ドライクリーニング品ならともかく、
「水洗いは出来るけど、家では洗うな」と言わんばかりのこの表示には違和感を覚えます
ただ、水洗い出来る=汗やホコリ汚れが洗えば落ちる、という事なので、
ドライクリーニングしか出来ないダウン類と比較しても長持ちします
品質と価格のバランスという意味では、文句の付けようがありません
ユニクロとしてもこの表示は、批判を承知の苦肉の策ではないのかな、という印象を受けます
ではなぜ、家庭用洗濯機では×で、クリーニング店だと○なのか
まず考えられるのが、回転方向
家庭用洗濯機は基本的に横方向に回転するタイプのものが多いのですが、
当社の業務用洗濯機は縦方向に回転します
左右に揺れるのではなく上下に揺れるため、
「横揺れによる転倒」はよほど小型のタイプでない限り、あまり考えられません
ただ、最近では縦方向に回転する家庭用洗濯機も増えてきました
次に容量
当社で使用している業務用洗濯機は、一度で最大20kgまで洗う事が出来、
家庭用洗濯機の2〜3倍の大きさがあります
そのため、家庭用洗濯機よりも土台の部分がしっかりしているため、
洗濯機が転倒するという事はまず考えられません
他にも要因はあるかもしれませんが、以上の2点だけを考えても、
ダウンのような大きな衣類は、
確かにクリーニング店の業務用洗濯機で処理した方が安全と言えます
しかし、だからと言って「クリーニング店での水洗いを推奨」という表示を、
ダウン製品に付けた方が良い、という事にはつながりません
消費者側からすれば、何故クリーニング店での水洗いなのかが分からないからです
ユニクロに限った事ではありませんが、衣類を購入する際は洗濯表示を確認し、
分からない点があれば、その場でお店の方に聞いてハッキリさせる事が、
結果として自分の身を守り、ムダな買い物はしない事へつながります
追記
本コラムを執筆後、業界紙に、注意を促すユニクロの広告が掲載されました
内容は、『「クリーニング店での水洗いを推奨」という表記のあるダウン類は、
水洗い処理を行ってください」というものです
問題になり初めてからの期間を考えると、素早い対応と言えます
ただ、出来れば、購入の段階で、
店頭において消費者に注意を喚起して欲しかった、というのが正直な所です