第二百十一回:「認識の壁」
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、
このコラムでは、クリーニング業者から見た
衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第二百十一回は、「認識の壁」について
それなりに長い間、クリーニング業に従事していて・・・
以前から、『売る側』と『買う側』の間には
「認識の壁」とでも言うべきものがある・・・と感じていました
クリーニングとは関係ありませんが、
様々な人間関係で、応用が利くと常々感じているため
今回は、この「認識の壁」について取り上げます
では、この「認識の壁」とはどういうものかと言うと
多くの方が、日常生活を送る上で経験している
「面と向かって伝えたので、相手には伝わっている」
・・・と思っていたら、全然伝わっていなかった、と言う状況です
自分にとって大事なことなので、相手にしっかりと確認した
でも、相手は次の日には忘れている。それどころか
「昨日、面と向かって伝えた」と言うことすら覚えていない
この、『自分と相手の認識の違い』はどこから来るのか
以前、当社のチラシを作成している会社の社長から
「お客様の頭の中は、99%が
クリーニング以外のことで占められている。どうやったら、
その1%未満の中に入れてもらえるか、考えないといけない」
・・・と言う趣旨のことを言われたことがあります
「自分にとって大事」=「相手にとって大事」・・・ではなく
相手にとってはどうでもいい事かもしれない、と言う認識を持つこと
面と向かって伝えたから、相手は覚えてくれている、と言うのは
ただの思い上がりである、と言うことを教えて頂きました
クリーニング店が、
品物を受付した際に発行する「預かり証」には
お預りした日時、仕上がりの日時
前金か後払いか、と言ったことが記載されています
また、お預かりする際
「仕上がりは〇日(〇曜日)の△時になります」と
大抵の場合は、面と向かって伝えます
ただ、面と向かって伝えて、預かり証にも日時が記載してある
でも、仕上がり日の前日に取りに来る・・・と言うことは良くあります
つまり、伝わっていないと言うことです
自分にとってすごく大事で
どうしても相手にやって欲しい、と言うことがある場合
「自分にとっては大事だけれど、相手にとってはそうでもない」
・・・と言う視点を、あらかじめ持っておくと
相手が忘れていた場合に備えておくことが可能です
「私の認識と、この人の認識は違うんだ」と言うことを
常に意識しておくことで、多くのトラブルを回避出来ると思います