 
  第二百十回:「『茶>黄>黒』の法則」
  
  「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
  お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
  
  常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、
  このコラムでは、クリーニング業者から見た
  衣類に関する様々な豆知識を公開しています
  
  第二百十回は、「落ちるかどうかの判断」について
  
  
  
  最高気温35℃程度の暑い日が続いていますが
  毎日着ているシャツ・ブラウスの「エリ・ソデ」に
  『茶・黄・黒』のいずれかの色の汚れが付いていないでしょうか
  
  ヘアカラーやネクタイの色移りなど例外はありますが
  エリ・ソデに付いている汚れは、
  ほぼ全てこの『茶・黄・黒』のいずれかです
  
  そしてこの『茶・黄・黒』の汚れ
  基本的には『茶<黄<黒』の順で時間が経過しており
  落ちる・落ちないを判断する基準になります
  
  
  
  @茶=表面に付いた皮脂汚れ
  
  茶色は基本的に「エリ・ソデの表面に付いた皮脂汚れ」です
  当社でお受けする、シャツ・ブラウスの中でも
  最も多いのがこの「茶」のパターンになります
  
  表面に付いている状態であるため
  「エリ・ソデのシミヌキ剤」のような洗剤を塗ってから
  使わなくなった歯ブラシでこすると、ほぼ落ちると思います
  
  
  A黄=皮脂が付いてから時間が経過した状態
  
  黄色は、茶色のように「表面に付いている」のではなく
  「滲んでいる」ような状態で浮き出て来ます
  
  皮脂が付いてから数日ではなく
  一週間、もしくはそれ以上の時間が経過した後
  皮脂の成分が変色して出て来た状態です
  
  
  この状態になると、基本的には
  使わなくなった歯ブラシのような
  「物理的な力」では落ちません
  
  漂白剤など、強めのシミヌキが必要になります
  ただ、色柄物やシルクに漂白剤は使えないため
  「黄色に浮き出て来た時点でアウト」な服はたくさんあります
  
  
  こちらのコラムでも以前からお伝えしていますが
  「シミヌキする方法がある」ことと
  「この服にそのシミヌキが出来るか」は別です
  
  全体が白で、プリントや装飾がないシャツ・ブラウスの場合は
  漂白処理を行うことで、大分薄くなるか
  もしくはほぼ取れる場合も多々あります
  
  
  
  B黒=手遅れのサイン
  
  エリ・ソデに黒い線のようなものが浮き出て来た場合
  基本的に「もう落ちない」と思って下さい
  
  この「黒」は、皮脂汚れが付いてから
  長い時間が経過することで
  黒く変色して浮き出て来た状態になります
  
  
  こまめにエリ・ソデをチェックして
  茶・黄の時点でシミヌキを行っておくと
  黒く浮き出てくることはほとんどありません
  
  黒く浮き出て来た・・・と言うことは
  蓄積した皮脂汚れを。放置していたと言う証です
  
  
  
  以上のように、特に夏場の皮脂汚れは
  『茶>黄>黒』の順に発生します
  
  茶色の時点で手を打っておけば、
  黄色や黒になることは大抵の場合は防げます
  
  毎日着ているシャツ・ブラウスの
  エリ・ソデをこまめにチェックして
  茶色い筋状の汚れが付いていたら
  早め早めにシミヌキして洗うことを心がけてみて下さい