クリーニング豆知識

第二十九回:雨がシミになる

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」


常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第二十九回目は、『雨の危険性』についての注意喚起


帰り道、突然振り出した雨。傘は持っていない
「すぐ近くだから、走っていこう」と思い、
雨の中を走って帰る・・・その前に

ちょっと待った

その服は、
「濡れても大丈夫な服」ですか?


梅雨の季節や、突然の雷雨があったり、
台風が上陸した翌日にお受けする事が多いのが、
「昨日の雨で濡れちゃって・・・」という衣類

所々にシワが寄っていたり、
裾のあたりが滲んだようなシミになっています
(このようなシミを、「水ジミ」と呼びます)

つい忘れがちですが、
雨に濡れただけでも、
衣類は縮んだり、シミになる事があります



お受けする中で最も多いのは、
「水洗いの出来ないスーツ」

やはり、仕事中、
もしくは仕事帰りに雨に降られたケースが多いようです


特に色がグレー系のものは、
水ジミがとても目立ちます

逆に色が黒系のものは、
シミや縮みが目立たないため、
しばらく経ってから気付く事が多いようです


雨ジミは、
多くの場合シミヌキで落とす事が出来ますが、問題は縮み


縮んだ部分は、アイロンで一時的に伸ばしても、
既に
「縮んだ形」になってしまっているので

時間が経つと戻ってしまう事があります
そうなってしまうと、元通りに戻すのは非常に難しいと言えます

Tシャツやジーンズなど、水洗い可能な衣類の場合、
泥ハネなど他のシミが付いておらず、
単なる水ジミであれば、水洗いをすれば大抵は落ちます

逆に水洗い出来ない衣類にとって、
雨は非常に危険なものであると言えます



雨の中を移動する際、
「今着ている服は、濡れても大丈夫か?」と考えるクセをつける事が、
結果として衣類を守る事に繋がります