第二十八回:汗取り裏話
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第二十八回目は、ズボンの汗取りクリーニングについて
この夏、ズボンの汗取りクリーニングが
予想以上に沢山集まりました
といっても、大々的にキャンペーンをしたという事ではなく
店内のホワイトボードに、
5月からズボンの汗取りクリーニングのポスターを貼り
その横にカンタンな説明を手書きで記しただけなのですが、
その直後からかなりの勢いで汗取りが集まり始めました
特に紳士スーツの多い土曜・日曜では、
「受け付けたスーツのうち、半分のズボンが汗取り」という事が度々ありました
ズボンを何本もお持ちになり、「これは全部、汗取りで」という方も多く、
「ズボンについた汗で困っている方は多い」という事を再確認しました
そのズボンの汗取りクリーニングですが、
実は当初夏限定のサービスでした
「スーツのズボンが汗でベタベタなんだけど、何とかならないか」と、
お客様から相談を受けたのがきっかけで、試行錯誤しながら、
何とか現在の汗取りクリーニングの方法へ辿りつきました
当初の値段は、ズボン1本につき+300円
実際に汗取り加工を行うと、
ほとんどシワにならないズボンもありますが、
多くのズボンはかなりシワが寄ります
それを、仕上げ機械とアイロンを使って丁寧に伸ばさないといけないので、
「300円でも、割に合わないかもしれない」と言うのが、正直な感想でした
ちなみに、スーツなど、
ドライクリーニングのみの衣類に対する、
「通常の洗い+水溶性の汚れを落とす処理」
の料金の相場は、『基本料金の2倍』です
当社のズボンは1本500円なので、
その相場で考えると+500円といった所でしょうか
今考えると、かなり割安な価格設定でした
当初は夏限定のサービスであり、
秋になったら終わり・・・と考えていたのですが、
秋や冬になっても、
「ズボンの汗取りクリーニングをして欲しい」というお客様が結構いました
当たり前ですが、秋でも冬でも汗はかきます
社内で相談した所、
「一年を通じて汗取りを行ってもいいのではないか」となり、
「+300円で合計800円になるから、もうちょっと利用しやすい金額にして、
もっと多くの方に使ってもらおう」という事になり、
現状の「+200円、一年中」という形になりました
割に合わないサービスが、更に割に合わなくなっています
(注:その後、+400円へと価格改定を行いました)
ただ、汗は放っておくとカビや脱色・変色の原因となるため、
以前から「汗はとてもキケンなものなんですよ」
・・・という事をお伝えする必要がある、とは感じていました。
結果として、汗取りは非常に良い「きっかけ」となりました
毎日履いているそのズボン
汗でジメジメ・ゴワゴワしていないでしょうか
汗をかかれたと思われたら、早めの対応をお勧めします