クリーニング豆知識

第二十七回:スリムシャツはワイシャツか
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第二十七回目は、流行のスリムタイプのシャツについて


スリムシャツ

正確には、スリムタイプのシャツ
ラベルの部分に「slim ○○」と入っているようなシャツは、
大抵このタイプに当たります

背中の部分にに2本のダーツが入っていて、
『絞った』ような形状になっているのが特徴です

今は、シャツに限らず、紳士スーツも、
「時代はスリム」ということのようです


スーツでは、ボタンをはめた際、
前に「X字」のシワが寄るのは、基本的にサイズが合わない
・・・とされてきました

しかし最近では、
敢えて前にX字のシワが寄るようなタイトなデザインのスーツを、
紳士服メーカー各社が投入しています


これらのシャツやスーツは、
「少しでも細く見せたい」というニーズを狙ったモノです

しかしこのスリムシャツ
出始めの頃から、当社では扱いに悩まされてきました



当社におけるワイシャツの定義は、
色合いなど細かい点もありますが

基本的には「洗濯表示が、『ネットに入れて液温40℃』となっているもの」
という事になっています

ワイシャツ洗いの際の液温は40℃であるため、40℃表示の衣類でないと、
形状の変化や、色落ちなどが発生する恐れがあるからです


しかしこれらのスリムシャツの多くは、
洗濯表示が、
「手洗い」となっています

当社の基準からすると、このシャツはワイシャツではありません
しかし、お客様からすると、ワイシャツとして毎日着ています

ワイシャツとして受け付けた場合は1枚200円ですが、
ワイシャツとして洗えない場合

「オープンシャツ」という、
常温洗い+アイロン仕上げのコースとなり、
1枚500円になります

ここで、問題が発生します


当社としては、「手洗い」表示のシャツに関しては、
「このシャツはワイシャツとしては洗えません」という扱いになるのですが

お客様からすると
「ワイシャツとして着ているので、ワイシャツ扱いで洗って欲しい」となります


色々と試行錯誤を繰り返した結果、
当社としてはこういったケースの対応策として

「ワイシャツとして今回は洗ってみるけれど、
タイト過ぎて機械に入らなかったりした場合、
次回からはオープンシャツ扱いになります」

という事をお断りした上で、ワイシャツとして洗って、仕上げています


今までの所、タイト過ぎてワイシャツの仕上げ機械に入らない
・・・という事はほぼありませんが
前や背中の部分に大きなシワが寄る事があります


この対応は当社独自のものであり、
クリーニング業者によって、対応が変わってくると思われます

スリムタイプのシャツを買う場合には、
「クリーニング店で、普通のワイシャツとして扱ってもらえない可能性がある」
という事を考慮した上で選んだ方が、良いかもしれません