第二百九回:「マフラーの品質表示」
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、
衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第二百九回は、「マフラーに付いている品質表示」について
以前から、「これは何故?」と感じていたことがあります
写真は、有名なブランド「ラルフローレン」のマフラーです
ブランドのロゴと一緒に、「文字の書かれた布」が
糸で縫いつけられています
これ以外、マフラーには何も付いていません
つまり、「JIS表示」と呼ばれる品質表示は付いていません
と言うことは、洗い方が分からない・・・ように見えますが
実は、英語で「DRY CLEAN ONLY」と書かれています
また、その下に「COTTON」と組成の表示があります
つまり、この「ブランドロゴの下の英語の羅列」は
「洗い方と組成を記した、品質表示」と言う訳です
多くの方にとって、
「クリーニングの品質表示」=「良く分からないもの」であり
さらに、表示が良く目にする絵文字ではなく
英語で書かれていたとしたら・・・
「自分には分からないもの」と言う
認識になるのではないでしょうか
そのため、英語の羅列をよく見ると
「DRY CLEAN ONLY」と書かれていても、この表記を
「ドライクリーニング可能」と読み解く方は多くありません
ちなみに、水洗い可能な場合
「HAND WASH ONLY」や「MACHINE WASH ONKY」など
「WASH」の文字が大抵の場合は書かれています
基本的に、日本国内で衣類を販売する場合
「JIS表示」と言われる、世界基準の絵文字で扱いを記した
「品質表示」を付ける必要があります
以前は日本独自の、非常に分かりづらい絵文字でしたが
法律の改正により、世界基準の絵文字へと変更になりました
そのため、国内で購入した衣類に関しては
品質表示を切り取らない限り
「洗い方が分からない」と言うことはありません
(そのため、品質表示は切り取らないで下さい)
ただ、マフラーやショールに関してはこの限りではなく
写真のように「英語で説明がある」のは良い方で
品質表示が全く付いていないマフラー・ショールは
当社でお受けした品物の中でも、
結構な確率で含まれています
これが何を意味するかと言うと
以前からこちらのコラムでも取り上げていますが
「洗濯表示が付いていない」ことを理由に
クリーニング店は受け付けを断ることが出来ます
『色落ち・縮みが発生しても構わないので洗って欲しい』
・・・と言った所で、受ける・受けないの判断基準は
クリーニング店側にあります
そのため、マフラー・ショールに関しては
「消費者側が、思わぬ不利益をこうむることがある」と思って
基本的には間違いありません
一度、お持ちのマフラー・ショールに
「どのような表示が付いているか」をチェックしてみて下さい
絵文字の品質表示が付いていない場合
クリーニング店で受付を断られる可能性があります
また、マフラー・ショールを新しく購入する場合
@日本国内で買う
A品質表示が付いているかを確認して買う
・・・の二点を意識するよう、心がけてみて下さい
この「マフラー・ショールの品質表示」に関して
法律が改正され、衣類と同じ表示を付けることが義務になった
・・・と言う話は聞かないため
今後もずっと、この状態が続くと思われます