第二百六回:「アイロンのかけ方」
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、
衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第二百六回は、「アイロンのかけ方」について
最近、『スチーム機能付きアイロン』のCMが良く流れています
パナソニックや無印良品など
参入している会社が多くある、と言うことは
今後も家庭用アイロンは伸びが期待出来る、と言うことでしょう
ただ。このスチーム機能付きアイロン
使い方をしっかりと学んでから使い始める・・・
と言う人はほとんどいないでしょう
何となく使ってみて、失敗と成功を繰り返して
少しずつ分かって来る・・・と言うものだと思います
スチーム機能付きアイロンは、
ちょっとしたシワならサッと直せる
非常に便利なモノではありますが
間違った使い方をすると
取れないシワや、消えない跡が衣類に付きます
そこで、アイロンを使う上での
「ちょっとしたコツ」を紹介します
@蒸気+手で伸ばす
光沢のある生地の衣類に、アイロンをしっかりかけると・・・
クリーニング業界で「テカり」と言われる状態になります
基本的には「起きた」毛が、アイロンをかけることにより
「寝た」状態になり、色が変わって見えます
そして、テカりを直そうと思ってアイロンをかけると
更に周囲の部分にもテカりが発生します
この場合、テカりの発生した部分に蒸気をあてて
「手で、寝た毛を起こす」と言う作業を行うのが基本です
光沢のある生地の衣類だけでなく
非常に柔らかい素材の衣類や
ジーンズのような固い生地の衣類に
しっかりアイロンをかけても、
テカりが発生することがあります
そのような衣類には
「アイロンはあてず、蒸気だけをあてて、手で伸ばす」
と言う作業をまず行ってみて下さい
Aハンガーにかけた状態で、アイロンをかける
@の応用のようなアイロンのかけ方です
良くアイロンのCMでも、ハンガーに衣類をかけたまま
アイロンをかけて、シワを伸ばす様子が描かれています
この場合
衣類から、少し離して蒸気をあてる ⇒ アイロンを軽くかける
・・・と言うやり方で、まずやってみるのが無難です
それでもシワが伸びない場合は
アイロン台を使用した方が良いかもしれません
ハンガーにかけた状態でアイロンをかけると
業界では「アタリ」と言われる、
裏地やボタンの跡が表に浮き出てしまうことを、
ある程度は防ぐことが出来ます
裏地付きのコートやオーバーの、
裏地のシワをしっかりと伸ばしたい場合は、
ハンガーにかけてアイロンをかけた方が、アタリが出ません
一方、アイロン台で平面に置いて
しっかりとアイロンをかける場合と比べると
シワはあまり伸びません
ハンガーにかけた状態でのアイロンがけと
アイロン台でのアイロンがけ
衣類の種類や状態によって、
使い分けることが大事です
B裏からかける
アイロンは、表からかけないといけない・・・
と言うルールがある訳ではありません
非常に柔らかい生地や、凹凸のある生地
ワッペンなど、大きい付属品が付いている衣類など
裏返しにして、裏からアイロンをかけた方が
しっかりとシワが伸びることがあります
ただ、裏から強くアイロンをかけると
今度は表に「アタリ」が発生することがあります
ブレザーやズボンの、裏の縫い目が絡んでいる場合や
洗うとポケットに大きくシワが寄る場合など
一部は表から、一部は裏から・・・と
手間をかけた方が、結果として手順は少なく済みます
今後、ユニクロのようなファストファッションの服も
大事にして、長く使う時代になると思います
冠婚葬祭で、急にスーツが必要になった
久々に出してみたらシワだらけだった・・・と言う時
自分である程度アイロンを使えるようにしておくと
何かと便利です
ここで取り上げた以外にも、
様々なコツ・テクニックがあるため
気になったら、Googleで検索したり
スマホのAIに聞いてみたりしてみて下さい