第百九十五回:「結局はセンスA」
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第百九十五回は、「受付の違い」について
前回、「仕上げの違い」について取り上げましたが、
今回は「受付の違い」についてです
コンビニやスーパーのレジでも、人によって
@早いけど雑
A丁寧だけどゆっくり
B早いし丁寧
・・・と言った、「人による差」を
感じる事があるかと思います
これも、ある程度まではマニュアルの質
ただ、結局はセンスでは、と考えています
接客や対人関係の本は、それなりの数を読んで来ましたが
基本は @知識 A経験 B思いやり の3つです
@の知識だけの場合、マニュアル通りの対応しか出来ず
AやBに頼りきりだと、経験した事のない事態に対応出来ない
いわゆる「接客に向いている人」は、
@もAも不足していても、Bだけで相手の心を掴んだり、
Aの不足を@で上手にカバーする事が出来ます
そしてここが、「買う側」と「売る側」で
大きな意識のズレがあるな、といつも感じる点です
同じクリーニング店で、以前と同じような質問をしたら
大体同じ答えが返って来るだろう・・・と、
ほとんどの方が考えていると思います
しかし実際の所、人によって対応に差があります
「売る側」からすると、どうしても人によって
知識・経験の差があり、「人によって言う事が違う」
と言う事態が発生する事を、完全に避けることは出来ません
例えば、「このシミ、落ちますか?」と言う質問
答えるには、
@シミの種類
Aそのシミを落とす方法
BAのシミ抜きが可能な衣類か
・・・と言った知識が必要になりますが
先月入ったばかりの新人に、
頻繁に聞かれる種類のシミと、その対応だけでも、
理解しておいて欲しい・・・と言うのは酷な話です
そのため、人によって対応が異なり
受付としての経験を積むほどに、
「落ちます」と断言する事は難しいと考える『売る側』と
「落ちるなら出したい」と考える『買う側』で
意識のズレが生まれることが多々あります
業種を問わず、前回の対応と大きく違う場合
まずは「なぜ?」と聞いてみて下さい
「分からない」と言われるかもしれません
あるいは、「上に確認してみます」と言われ、
そのまま忘れられてしまうかもしれません
ただ、「こう聞いたら、こう返って来た」と言う
知識・経験は、積めば積むほど大きな「支え」となり
様々な人と接する際に、
落ち着いて対応が出来るようになります