第百九十一回:「お客様満足度」
「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」
常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています
第百九十一回は、「表に出す数字」について
企業が発表する様々な数字のうち、
『売る側』として、あまり信用していない数字
その一つがお客様満足度です
何故かと言うと、
都合の良い期間の、都合の良い部分だけ
・・・を、切り取って数値化出来るからです
例えば、発売後しばらく評判は上々
しかし、発売から一ヵ月後に製品の不具合が発覚
アマゾン等での評価が暴落・・・と言う製品があった場合
『発売から一ヵ月以内のお客様アンケート』だけを数値化して、
「お客様満足度」として発表する事が可能です
数値の下に小さく、ほとんど読めないような字で
「※発売後一ヵ月以内のお客様アンケートに基づく数値」
と表示しておけば、嘘ではありません
また、製品の不具合を知らない人にとっては、
「一ヵ月」と言われても、何故なのか分からないでしょう
『売る側』、特に大企業は
このような、「都合の良い数値」だけ、表に出します
法律で決められていない限り、
基本的には都合の悪い数字は出しません
分かりやすいのは、食品のカロリー表示でしょう
表示義務がない限り、カロリーの低さや栄養素を
特徴としている製品以外は、ほとんど表示していません
ただし、だからこそ
都合の悪い数値もしっかり公表する事が、
企業への信頼に繋がる時代である、とも言えます
しかし、この事には逆の見方も出来ます
つまり、「数字を出さない場合、表に出せる数字がないから」
・・・と言う事情があるからでは、と言う事です
最近、特にスマホ向けアプリのCMで目にするのが
「使ってる人、増えてます」と言う表現です
「登録者数〇〇万人突破」
「利用者数、前年比〇〇%UP」
「累計ダウンロード数〇〇万突破」
・・・と言った、具体的な数字が出せない、と言う事は、
表に出せる、都合の良い数字すらない、と言う事です
『売る側』は、都合の良い数字しか発表しません
ただし、「発表しない数字」を考える事で、
物事の裏側が見えて来る事が、多々あります
企業の発表する、いわゆる「プレスリリース」で
「〇〇は非公表」などと書かれていた場合、
発表しない事には、必ず理由があります
ただし、全ての数字を疑って見ると、疲れます
そのため、近々買おうと思っている製品や
頻繁に利用している製品・サービスについて
一度、「表に出している数字」と
「表に出していない数字」について、
是非考えてみて下さい