クリーニング豆知識

第百八十八回:「要望を伝えてみる」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百八十八回は、「とりあえず伝えてみる」について



『買う側』の立場では、中々気付かない
しかし『売る側』の立場になってみて
、つくづく思うこと
それは、
「要望を伝えてみる事の大切さ」です

日本人は「察する」ことが出来るため、
「これを言ったら迷惑かな」とか、
「マニュアル外の対応だし、どうせムリかな」と察して、諦めてしまい

「実はこうして欲しいんだけど、それって可能ですか?」
と、
『要望を伝えてみる』ことが、苦手だといつも思います


『売る側』から見た場合、
個人店や小規模のチェーン店の場合は特に、
割と柔軟な対応が可能です


ベテランの店員さんほど、様々な状況を経験しており、
「言う通りの事は出来ないけど、このような対応は可能です」
・・・と、結構その場の状況に応じた対応をしてくれる場合があります


当社の例で言うと、ワイシャツの「
のりなし」は以前はありませんでした
しかし、お客様からのりを薄く、
あるいは付けない事は出来ないかと言われ、
そこから生まれたのが
「のりなしワイシャツ」です

また、今ではワイシャツだけでなく、要望に応える形で
ブラウス・ゆかた・カジュアルシャツにも対応しています



当社には、
「ワイシャツにのりをつけない」と言う考えが、
以前はそもそもありませんでした

しかし、お客様に言われて
「やろうと思えば出来るな」と思い、
実際にやってみて好評なのでメニュー化した、と言う例もあります


また、ズボンの
「汗取り」も、
ドライクリーニングで汗は落ちないことは当たり前で、
ドライのみのズボンに蓄積した汗は、落とす事は出来ない・・・

と以前は考えていましたが、以前より、
汗に関するご相談を非常に多くお受けしていた事から、
ズボンの汗取りの方法を開発した、と言う経緯があります


すごく困っている時
どうしても
「〇〇したい!」と言う事情がある時
自分の中でイメージを明確にした上で、それを伝えてみて下さい

自分がどうしたいかハッキリと分からないと、
相手もどうすれば良いのか分かりません



また、身近な人や、
良く利用するお店の人に対して
『お願い』する場合

普段から、周囲の人に自分がどのように接していたか
誠実に、親切にしていた人ほど、周囲の人が積極的に助けてくれます
まさに
「情けは人のためならず」です

日常的に周りの人に気を配り、親切にした上で、
でも自分が困ったら、迷わず「助けて!」と言える人
「なぜか上手く行っている人のルール」のような本で、良く見る生き方です
興味を持ったら、そのような本を是非読んでみて下さい