クリーニング豆知識

第百八十回:「売る側から見た『マスクなし』」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百八十回は、「マスクなし」について


2023年3月から
、政府は屋内・屋外問わず
マスクの着用について、「本人の判断」
とする方針を決定しました


ただし、基本的には
『状況に応じて、マスクの着用を推奨する』と言う方針であり

この決定により、マスクをしない人が大幅に増える・・・と言う、
極端な変化にはならない、と見ています


なお、一足先にマスクの着用義務を解除した韓国では、
未だにマスクを付けている人が大半、との事です



この
「マスクの着用は個人の判断」と言う政府の決定を、
『売る側』から見た場合、多くの『売る側』の人は、
「そうは言っても、マスクをしない訳にはいかない」
・・・と感じるのでは、と思います

日本はよく、
「同調圧力の強い国」と言われます
コロナの流行が始まった頃は、
マスクをする・しないの判断が、人によってバラバラでした
それが、いつの間にかほぼ全ての人が付けるようになっています


世の中に大きな変化があった場合でも、
自分自身の行動を、いきなり大きく変えるのではなく、
周囲の反応を見ながら、少しずつ変えて行く傾向にあります


『売る側』の人がマスクをしなくなるのは、
マスクの着用は個人の判断と言う事が、
多くの人にとって『当たり前』になってから・・・
少なくとも、2023年いっぱいはかかるのでは、と見ています


また、
「店内では、マスクの着用をお願いします」と言う対応のお店も、
長い間、残り続けると思います

『売る側』からすると、
「まだ不安だから、マスクは付けていたい」
考える方にも、安心してお店を利用してもらう事を考えた場合、
「店内ではマスク着用」を、お願いせざるを得ないと思います


ただ、『売る側』も人間です。例えば、

@何年も前から利用してくれている、常連客
A数回利用しており、これから常連客になってくれるかもしれない人
B今日初めて利用する、新規客

・・・の3人のお客様が、
「店内では、マスクの着用をお願いします」と言うルールのお店に、
マスクをしないで入店するとどうなるか・・・となると

全ての『売る側』の人が、
@〜Bの人に同じ対応をするか・・・と言うと、そんな事はないと思います

『売る側』も人間です
しかし、この事は、『売る側』を経験してみないと、中々実感しづらい事です


世間話をするような仲の常連客であれば、
「一応マスク着用のルールになっているから、次から気を付けてね」
と言うだけかもしれません

しかし、新規客に全く同じ対応は出来ません
結果として、
「店内では、マスクの着用をお願いしています」と言うか、
もしくは、見て見ぬふりをする、と言う対応になります


今後、うっかりマスクを忘れて家を出てしまった、
と言う事も増えるかと思います

その時、
「店内ではマスクの着用をお願いします」
と言うお店(特に個人店)では、今までそのお店と、
自分がどのような関係を築いて来たか、が浮き彫りになると思います