クリーニング豆知識

第百七十一回:「デニムの色落ち」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百七十一回は、「デニムの色落ち」について



デニムは、洗っているうちに
どのくらい色落ちするのか?


すごく意識している、と言う方はそれ程多くないと思います
今まで様々な種類のデニムを取り扱って来ましたが

基本的に、
国産のデニムはあまり色落ちしません

特にユニクロのデニムは、
非常に優秀だと思います

しかし、海外の品質表示の付いた、
あるいは品質表示のないデニムは、
一度洗っただけで、ものすごい色落ちすることがあります



また、シミが付いたからと言って、
市販のシミ抜き剤を塗って強くこすり、そのことが原因で

色が
「はげて」しまったケースも、
今までたくさん見て来ました
この状態は「脱色」であり、元に戻ることはありません


ただ、最近多いのが
「ネット通販で買った」
もしくは
「ネットオークションで買った」と言うデニムで

品質表示が切り取られていたり、読めない状態のものが多々あります
そういったデニムの一部に、ものすごい色落ちをするものがあります


また、色落ちを非常に気にされているお客様から、
「色落ちするとイヤなので、ドライクリーニングして下さい」
と言われる事もありますが、デニムは肌に直接触れることが多く、
汗による脱色が発生するリスクがあるため、お勧めはしません


デニムは基本的に非常に乾きづらい生地のため、
もしドライクリーニングして返って来ても、
1〜2日ほど乾燥させてから着用した方が無難です


ドライクリーニングの洗剤が残っている状態で着用すると、
お子様や肌の弱い方は特に、化学物質による炎症、
「化学やけど」と言われる状態になる事があります

クリーニング工場に勤務している人の多くは経験していますが、
「肌の内側が痛い」と言う症状で、赤く腫れあがる状態が続きます


そして、クリーニング業者から見て、
別の意味でもデニムが非常に難しいのは

「色落ちしたらそれはそれ。色合いの変化を楽しむ」
と言う方もいれば

「この色が良いから買った。色落ちなんてありえない!」
と言う方もいます


デニム製品の品質表示には、
「この製品は、クリーニングによって色合いが変化します」
と言ったことが大抵は書かれています

色落ちすることが前提の製品である、
と言うことを忘れないで下さい


デニムが大好きでたくさん持っていると言う場合
長持ちさせるためのポイントとしては

@シミが付いても、強くこすらない(色がはげる)
A汗が付いたら、なるべく早く洗う(脱色・変色の原因になる)
B家で洗う場合、なるべく他の衣類と分けて洗う(色移りの危険がある)


・・・の3点を心がけてみて下さい
一度洗っただけでものすごい色落ちするデニムを、
他の衣類と一緒に洗うと・・・大惨事になります


初めて洗う場合は、濡れたティッシュやタオルを、
すそ部分にこすりつけて、色が付くかどうかチェックしてみて下さい
ベッタリと色が付く場合、必ず単独で洗うようにして下さい


デニムは好きだけど色落ちはイヤ、と言う場合
元々薄い色合いの、青やグレーのデニムが無難です
何十回と洗っても、大抵は色合いが変わりません