クリーニング豆知識

第百六十九回:「ビッグマックと客単価」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百六十九回は、「客単価」について



2022年の春は、
正に値上げの春となりました


原材料や輸送費の上昇が主な理由ですが、
日清の
「カップヌードル」や、
東洋水産の
「赤いきつね」「緑のたぬき」など

ロングセラーの定番商品が、
次々と値上げを発表している事には驚きました


ただその一方、値上げをしなかった製品・商品・サービスもあります
マクドナルドを良く利用すると言う方は、
一度「日本マクドナルド」の公式サイトで、
「価格改定のお知らせ」をチェックしてみて下さい

ハンバーガーやチーズバーガーと言った、
低価格の商品が値上がりしている一方、
価格改定のリストに載っていない、
つまり値上げをしない商品もたくさん(全体の8割)あります


注目したのが
ビッグマック
値上げをしていません

ビッグマックの原材料だけ値上がりしていない・・・
訳はなく、マクドナルドの判断です

『買う側』からすると分かりづらいけれど、
生き残るため、
『売る側』は普通にこういう事をする、
と言う非常に分かりやすい例だと感じました


理由は色々とあるとは思いますが、
ビッグマックを値上げすることにより、
「客単価が低下すること」を懸念したと言うのが、
一つではないでしょうか


例えば、マクドナルドを良く利用する人が三人いたとして

Aさんは、期間限定のハンバーガーのセットをいつも買います 800円

Bさんは、ビッグマックが大好きで、
ビッグマックのセットしか食べません 700円

Cさんは、マクドナルドは大好きだけれど、
食費はなるべく節約したいので、バリューセットを食べます 500円



800+700+500÷3=666円
これが、3人の
『客単価』となります

Bさんはビッグマックが大好きですが、
値上げしても確実にビッグマックを食べ続けてくれるか・・・
と言うと、分かりません


また、期間限定のハンバーガーに
「値上げ」はありません
何も言わず、昨年と価格を変えてしまえば良いだけです
おそらく、ほとんどの利用者が気付かないでしょう


企業は、基本的にこの「客単価」を上げたがります
セットにプラス〇〇円でサイドメニューが豪華になるのも、
期間限定のパイが出るのも、基本的には
「一人あたりに使ってもらう金額」を上げたいからです

日本は今後、大幅な人口の増加は望めません
そのため、客単価を上げる方向に、
色々な製品・商品・サービスが移行しています



2022年の春は、正に値上げの春となりましたが、
ビッグマックのように、値上げしないモノもあります

その「値上げしないモノ」を探して、見つけて、
賢く(出来れば楽しく)、値上げの春を乗り切ってみて下さい