クリーニング豆知識

第百六十七回:「サク山チョコ次郎」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百六十七回は、「マネされない販促」について


2021年に発売された製品・サービスで、
『売る側』から見て特に面白いと感じたのが・・・

サク山チョコ次郎です


何が面白いかと言うと、

「名前を聞いただけでは、製品のイメージが出来ないから」
です

以前に紹介したチョコレートビスケットの

「Bitte」
なども、名前からは中々イメージしづらいのですが

『サク山チョコ次郎』と言う名前は、
「人の名前っぽいお菓子。しかもちょっとダサい」と言う、
絶妙なネーミングだと思いました


実際、
「食べた事はないけど、名前だけは覚えている」
と言う方も多いのではないでしょうか

そして、おそらく今後同じような名前の製品が
たくさん出て来るかと言うと・・・そんな事はないでしょう
『売る側』から見て、これはとても大事なことです


以前、KADOKAWAと、
「ニコニコ動画」のドワンゴが合併した際、代表の方が
「KADOKAWAとドワンゴが合併すると、
何が出来るのか分からない。分からない事はマネされない」

・・・と言われていました

また、カップヌードルで有名な日清食品は、ホームページで

「本社がビームで爆破されました」
と突然発表したり

カップヌードルやカレーメシなどのCMで、
「何を狙っているのか全然分からない。でも面白い」
と言う内容のものを、次々に流しています

そして、2021年の企業好感度ランキングで、日清は一位でした


日清の代表の方がインタビューで、
「今の若い世代は、そもそもカップヌードルを食べない。
だから、興味を持ってもらう所から始めないといけない」

といった事を言われていました

つまり、サク山チョコ次郎も日清の宣伝も、
「他社からすると
、『良く分からないことやってる』と思われているけれど、
やっている方は明確な目的を持って、
製品開発やマーケティングを行っている」
と言えます


『売る側』からすると、
これは
「理想の売り方」の一つです

自分は効果を理解している。実際に結果が出ている
でも競合他社は、理解出来ない、
あるいは同じモノを作れないためマネが出来ない

消費者目線で見ると、

「この会社は、何でこんな事やってるの?」
と思える事でも

実際にやっている方は綿密なリサーチを行った上で、
製品やサービスの名前を決めたり、
CMやキャンペーンの内容を考えている事が多々あります


ただし、社員から
「お客様のために、こんなサービスを提供したい」
と言う意見が出て、社長が即座にゴーサインを出して、
大ヒットしたサービスが誕生した、と言う例もたくさんあります

自分がよく利用する製品・サービスが、
そのような
「良く分からない売り方」をしていた場合

その裏側にあるモノを見ようとすると、
世の中がまた違った視点で見えて来ます