クリーニング豆知識

第百六十五回:「ファスナーの良し悪し」

「クリーニング業に携わる人間からすると当然の事であっても、
お客様からすれば当然でない事はたくさんある」

常々感じていたそのギャップを少しでも埋めるため、このコラムでは、
クリーニング業者から見た、衣類に関する様々な豆知識を公開しています

第百六十五回は、「ファスナーの品質」について



服を買う時、基本的にはデザインや
素材で判断するとは思いますが

ファスナーの品質まで見て服を選ぶ・・・
と言う事はあまりないかと思われます


ただ、今まで様々な服を見て来た経験から、
「ファスナーの品質の違い」
言うものは確かに存在します

具体的には、右と左の噛み合わせ、
上げ下げのしやすさ、耐久性などです


国内のブランドは、例外もありますが、
全体的に無難な作りであると感じます


尖ったデザインのものがあまりない代わりに、
噛み合わせが非常に悪いとか、
上げ下げがしにくいと言った事があまりない

一方、世界的に展開しているアパレル会社の製品は、
明らかに品質の差があります

ただ、全体として品質が高い・低いと言う事ではなく、
同じブランドでも

「スタンダードなデザインで、上げ下げがしやすい」
ものと、
「全体的に凝ったデザインだが、
左右の噛み合わせと上げ下げが非常にしにくい」
もの
・・・と言ったように、服ごとに大きな差がある印象を受けます


絶対ではありませんが、ファスナーの部分が大きく目立つような、
「ファスナーも含めて、一つのデザイン」のような服は、
全体的に噛み合わせや上げ下げがしにくい傾向にあります

逆に、ファスナー部分が小さい、
あるいは、他の部分でほぼ隠れてしまうデザインのものは

凝ったデザインのものにする必要がないため、シンプルなものが多く、
噛み合わせや上げ下げがしやすい傾向にあります


ファスナー部分まで含めて服を選ぶ、
と言う事はあまりいないと思いますが

何百回と噛み合わせ・上げ下げをする事になる部分です
新しい服を買う時は、
ちょっとだけ「ファスナーの品質」を気にしてみて下さい



なお、ファスナー部分の修理は割とお高めです

単に取っ手が取れて、同じようなもので交換、
と言う場合には安く済みますが

ファスナー部分が全く噛み合わなくなると、
ファスナー部分の総取り換えとなり

大きさやデザインにもよりますが、
かなりの金額になる事が多々あります


とてもお気に入りで長く使いたい、
と思っている服にファスナーが付いている場合には

デザインが特殊で修理が出来ない、と言う事もあり得るため、
噛み合わせや上げ下げを含めて、なるべく優しく扱ってあげて下さい